花や人物など、作者にとって身近な生物を主なモチーフにした半抽象画を描く、荻野夕奈の個展が開催中。

 画家の父に影響を受け、小学三年生の頃から油絵を学び始めた荻野は、女子美術大学付属高校を経て東京藝術大学に進み、東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了。国内外を問わず多数のグループ展への参加や個展も開催し、精力的に作品を発表している。

 自己・女性の象徴としての「花」や女性を多く描いてきた荻野だが、2021年から描き今回の個展のテーマでもある「Embrace」と題する人物画シリーズでは、ジェンダーをあえて特定させず、人と人が接し合うシーンを描く。油絵特有のダイナミックなマチエールや繊細なタッチを何層も塗り重ね、身体的な関係性や感情を表現している。

 3年前に同ギャラリーで開催された荻野の個展では、柔らかい色合い、しなやかなタッチの半抽象画の印象が強かったが、今回はより抽象的な表現となり、観る者の想像力をかき立てる。また、全体的に強くはっきりとした色使いと力強い筆使いが絵の中の人物に生命力を吹き込んでいる。

 これまでもライブペインティングのパフォーマンスを行ったり、ワークショップを主催したりと、表現の幅や活動の場を広げてきた荻野。これからも表現の変化に目が離せないアーティストだ。
荻野の他の作品を観たことがある人もない人も、ぜひ会場でダイナミックな今回の作品を観てほしい。

【会期】8月16日（金）〜9月1日（日）※会期中無休
【時間】12:00〜20:00