藤本由紀夫「BLOOM’S BROOM」

  • 2024/11/14(木)
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藤本由紀夫「BLOOM’S BROOM」

 「音」を「かたち」に捉えたサウンド・オブジェを中心に、人間の知覚を喚起する作品の数々を生み出す藤本由紀夫の展覧会がシュウゴアーツで開催中。

 本展では、ギャラリーに800枚の素焼きタイルを敷き詰め、《BROOM(TILE)》を発表。この作品は観客がタイルの上を自ら歩き、その重みで徐々にタイルが音を立てひび割れていく過程により成立する。
 藤本は《BROOM(TILE)》の構想について次のように述べている。「帚で地面や床を掃くと、サッサッと音をたてる。地面や床はレコード盤であり、帚はレコード針なのだ。地球は大きなレコードで、我々は毎日、レコード針である両足で音を引き出しているのである。」

 《BROOM(TILE)》は、2002年にイギリスのセント・アイヴィスのギャラリーで発表され、その後、西宮市大谷記念美術館、美濃を舞台にした「土から生える」アートプロジェクトなど、様々な場所で形を変えて制作されてきた。東京では初の展示となり、来場者がこの作品に参加し体験することができる貴重な機会となる。
 会場内に敷き詰められたタイルをよく見ると多くのひび割れがあり、端が細かく砕けている様は、たくさんの人がこの作品の上を歩いたことを物語っている。実際、先日の「アートウィーク東京」の期間中には多くの人がギャラリーに訪れ、作品を楽しんだそうだ。

 ギャラリーを訪れる前は、作品の上を『歩く』感覚がメインと思っていたが、実際にはパリっという微かな音やタイルから跳ね返る振動など、思った以上にあらゆる感覚が呼び起こされる体験を楽しむことができた。
この取材時にも、訪れる人が絶えなかった本展の会場で、ぜひ体験してほしい。

 さらに本展では、藤本が長年制作をつづける《SUGAR》シリーズの新作も観ることができる。《SUGAR》はガラスチューブ内の角砂糖が回転によって徐々に崩れ、最後は真っ白な粒状の姿となり、時間の推移と変化、規則性と偶然性、音と空間との関わりなどを包括している。
 また、《SUGAR》と同様に重力や回転など自然の力で発生する音や変容していく様を形にした《REVOLUTION & GRAVITY》シリーズも体験できる。

【会期】10月26日(土)〜11月22日(金)
【休廊日】日月祝
【時間】11:00〜18:00
【画像】藤本由紀夫「BLOOM’S BROOM」展示風景, シュウゴアーツ, 2024 Copyright the artist, Courtesy of ShugoArts

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