描くから写すへ…カメラの歴史170年を手繰る!

写真歴史博物館(六本木)

  • 2014/09/18
  • カルチャー
  • 博物館
写真歴史博物館

カシャ! 今や幼児でも携帯で写真を撮る時代。老若男女問わずカメラでの撮影を趣味とする人も多い。しかし、カメラがいつ生まれたのか、過去にはどんな形だったのか知る人は意外と少ない。知っているようで知らないカメラの起源。それを教えてくれるのが富士フイルムスクエア内にある写真歴史博物館だ。

フロアは、写真の歴史170年の変遷、富士フイルム歴代カメラ、写真展、レプリカと、4つのゾーンで構成されている。入ってすぐ、天井まで届くガラスケースに整然と並べられたカメラの多さに驚く。壁面の歴史的なカメラが約100台、入り口付近の歴代富士フイルム製品が約100台、その倍以上を保管しているというから総数はかなりの数に上る。

必見No.1は歴史コーナーの「横浜写真と横浜写真アルバム」。1848年に渡来した写真技術は外国人写真師を中心に横浜で勃興。白黒で焼き付けられた写真に絵師が色付けした彩色写真が生まれ、「横浜写真」と呼ばれたという。外国人の土産として使われ、蒔絵を施した木製表紙でまとめられた「横浜アルバム」も展示されており、その彩色の綿密ぶり、アルバムの豪奢ぶりには目を見張る。
 次の注目株は、「カメラ・オブスクーラ」の日本最古版。これは、箱の小穴を通して写った風景をそのままなぞって模写する写真鏡で、カメラの語源となり写真術発明に重要な役割を果たした。

富士フイルム歴代カメラのコーナーでは、1948年発売の蛇腹折り畳み式カメラ「フジカシックス 1A」を皮切りに35ミリカメラやインスタントカメラ、TVカメラに至るまでさまざまな機種を見ることができ、懐かしい雰囲気。特に、2Fに一覧展示されている一世を風靡した「写ルンです」のパッケージは当時をほうふつとさせる。
 フロア右側では写真展を実施。取り上げるのは、アンセル・アダムス、ユージン・スミス、土門拳など世界的に著名な人物ばかり。機材にはあまり興味のない若い女性やカップルなどが多いのが、ほかのコーナーとの違いだ。
 夏休みには、光やカメラの構造に関するワークショップ、講座を小学生向けに開いている。

貴重な古のカメラを鑑賞してその開発技術力に感嘆することも、著名な写真家の作品を眺めて感じ入ることも、富士フイルムの歴代のカメラを見ながら思い出に浸ることも自由自在。街歩きのついでにふらりと立ち寄れば、手持ちのカメラへの愛着も一層わくかも。

「ゾートロープ」のレプリカ静止画を素早く入れ替え、あたかも動いているかのように見せる器具「ゾートロープ」のレプリカ。映像のもととなった理屈が自分で動かすとよく分かる。
企画展の模様年に4回程度入れ替える企画展。世界的写真家のモノクロながら味わいのある写真が無料で鑑賞でき若年層に人気が高い。
「キノーラ」のレプリカ20世紀初期の動画鑑賞機器「キノーラ」のレプリカ。めくってみることでアニメーションになる、いわゆるパラパラ漫画。
横浜写真とても後から色を足したとは思えないほど精密で写実的な「横浜写真」。当時の建物や服装も興味深い。
カメラ・オブスクーラ日本に現存する最古の「カメラ・オブスクーラ」。漆塗りに雲竜模様が描かれた茶道具のような外観だが、中に反射鏡が置かれている。
歴代の8ミリカメラ「私にも写せます」というキャッチフレーズのCMで知られたフジカシングル-8P1など、懐かしい8ミリカメラも歴代のものが並ぶ。
歴代の「写ルンです」2Fにある、1986年に登場したレンズ付きフィルム「写ルンです」の一覧展示。年代順にずらりと並ぶ様は見ごたえがある。
懐中時計型隠し撮りカメラ「ティッカ」どんな時代でも需要はある!? 1910年に製造された懐中時計型隠し撮りカメラ「ティッカ」。
ライカ初の精密小型35mmカメラとして、その名を轟かせた「ライカ」は1925年に生まれた。

基本情報

名称 写真歴史博物館
所在地 港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン ウエスト1F(フジフイルム スクエア内)
電話番号 03-6271-3350(10:00〜18:00)
料金(税込) 入場無料
営業時間 10:00〜19:00(最終入館は閉館10分前まで)
休館日 年末年始
アクセス 大江戸線「六本木駅」直結
日比谷線「六本木駅」、千代田線「乃木坂駅」徒歩5分
公式サイト https://fujifilmsquare.jp/guide/museum.html

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