港区界隈の個性派 博物館
港郷土資料館
巨大な貝層断面に驚き、民具に触れて古を偲ぶ“港区”今昔物語 港郷土資料館

海岸沿いで縄文時代から人の営みがあった港区界隈。区内で出土した遺跡の資料や古文書などは、三田にある港郷土資料館に保管されている。1982(昭和57)年、発掘された伊皿子貝塚遺跡の出土品を展示するため、三田図書館の4階に設立された。横幅16mに及ぶ巨大な貝層断面が展示の目玉だ。

展示室は基本的に常設だが、毎年10月中旬から12月上旬までは、所属する学芸員の研究発表を兼ねた特別展を開催。考古学、近世史、近現代史、建築、美術のいずれかの分野で行う。常設展は、時計回りに縄文時代〜昭和20年頃までの土器、石器、古地図、古文書、写真などが並び、港区の歴史の流れを大まかに把握できる仕組み。江戸時代の地図や明治期のカルタなどは、馴染みやすくて興味がわく。「中世の資料が少なく、展示は古代から一気に江戸時代になりますが、それも区の歴史の特徴としてそのまま展示しています」と、学芸員の高山優氏。

圧倒されるサイズの伊皿子貝塚の貝層断面。16mもの展示は日本最大級という。良く見れば、二枚貝や巻貝の殻が無数に重なっているのが分かる。出土した貝は82種類あるが、食用のものは10種類程度。魚や獣の骨も少ないため、貝の加工場だったのではないかと考えられているのだとか。縄文時代の人々が1つずつ処理したものが面積351u、最も高いところで1.8mの巨大な貝塚になったかと思うと、まさに塵も積もれば…の心境だ。手前には縄文土器、ナイフのような石器、貝殻を加工したアクセサリーなど出土品が並ぶ。右側には、虎の門の西久保八幡貝塚遺跡の貝層断面が比較対象として展示されているが、貝の層が帯状になっていて、土の部分が多い。貝塚と言っても時代、場所、用途で違いがあることに気付かされる。

展示室に隣接した“さわれる展示室”は子どもや親子連れに好評。「本物の資料に触ってみたい」との声に応え、1999(平成11)年にオープンした。土器、ミンククジラの全身骨格、明治から昭和にかけての民具など、実物を手に取れる。毎週火、金、土のみだが、開館時間中は学芸員が常駐しており、使い方や疑問などをいろいろ尋ねられるのも魅力的。区内の小学校の社会科授業でも利用されているという。
 連綿と続いてきた人の営み。特別な歴史でない、身近な“昔の生活”が自身の“今”を振り返るきっかけとなるかもしれない。

    港郷土資料館(三田)
  • 港区芝5-28-4
    港区立三田図書館4F [MAP]
  • 03-3452-4966
  • 入館無料
  • 9:00〜17:00
    さわれる展示室 火金土 12:30〜16:30
  • 休館日
    日祝(夏休み中は開館)、第3木曜日(休日の場合は前日)、年末年始、特別整理期間、展示替期間、施設整備期
  • 浅草線・三田線「三田駅」徒歩2分
    JR「田町駅」徒歩5分
  • webサイト
縄文時代後期の伊皿子貝塚の断面
弥生時代後期の土器
虎ノ門の西久保八幡貝塚の断面
コーナー展
元禄赤穂事件に関する古文書
明治以降の資料
ミンククジラの骨格標本
昭和30年代の家電品
昭和初期の和室(再現)

2013年4月取材/2013年7月更新