Daiichi Sankyo くすりミュージアム(三越前)

健康を担う誰にとっても身近な存在ながら、複雑で難しい薬への理解を深めてもらうべく、製薬会社の第一三共が2012年に開設したのが「Daiichi Sankyo くすりミュージアム」。紙の展示が全くない体験主体のユニークな施設だ。
ミュージアムは第一三共の本社ビルA館の一角にある。1Fには総合受付と、薬の誕生を描いた映像「一粒のくすり」、デジタルライブラリーがあり、実際の受付は2Fで行う。スタッフからICチップ内蔵のメダルをもらって、性別などを登録。このメダルが全ての展示のアクセスキーになっている。
展示は、薬の種類や働きを解説した「くすりのはたらき」、薬の誕生から販売後までの過程を段階的に追う「くすりをつくる」をメインに展開していく。
注目は「くすりのはたらき」のスケルトン人体模型。吸入剤や坐剤など、体の各部位から服用した薬がどのように全身を巡るかが一目瞭然。薬効について解説した対戦型ゲームは、薬によってウイルスや細菌が減る様子を遊びながら体験でき、子どもや学生に大人気だ。錠剤、カプセル、貼付剤、粉薬など、薬の形状が違う理由をクイズ形式で解説する展示などもユニーク。難しい解説パネルや書籍などは全く見当たらず、テーマパークに来ているような感覚で知らぬ間に知識が増えるのがいい。
「くすりをつくる」では、研究開発、製剤開発や臨床試験、生産工程、販売後の取り組みまでをフォーカス。
ピクトグラムも使った分かりやすい映像で創薬手順を追うと同時に、研究所や工場の社員、MRが、仕事の説明、やりがいなどを熱く語ったVTRも放映。植物、動物、鉱物、菌類など、薬の種となる素材を解説したモニターでは、漢方にも使用される素材など馴染みの素材のルーツを調べられる。薬を服用する機会の多い高齢の来館者が熱心に見入っていることもあるとか。
薬の種となる物質(化合物)を探すスクリーニングシミュレーションも面白い。25枚のプレートを使ったゲーム形式になっており、ルールは分かりやすいものの正解を見つけるのが難しい。発見できないと思わず悔しさも。隣のドラッグデザインのシミュレーションは、なんと3Dパズル。色や向きを変えて適切な薬の形にデザインしていく。ヒントを基に何度やり直してもなかなかうまくいかず、気軽に始めたのにムキになって何度もやってしまう。単純だけど難しいので、大人がハマってしまうようだ。
壁には、研究に用いられる三ッ口フラスコ、デシケータ、滴定ビューレットなどの器具が飾られ、スポイトがたくさん並んだような容量可変式マイクロピペットは実物も触れられる。薬の分子模型も展示されており、館内は化学の先端を担うラボのよう。学校指導要領に「薬育」が組み込まれた昨今、大人も子どもも楽しく薬に一歩近づいてみたい。
1Fはエントランスになっており、待ち合わせにも活用。中央には薬がどのように誕生するかを紹介した「一粒のくすり」の映像がデータとともに流れる。オリジナルグッズの販売なども実施。
2Fの受付で、ICチップ内蔵のメダルを受け取り、右側のカプセルエントリーで性別、言語(日・英・中)などを登録する。
2F受付から入って最初のエリア。暗い空間で超指向性スピーカーによる臨場感のある音声を聞きながら、体の臓器、細胞、DNAと掘り下げていく映像はSFっぽく冒険譚風。健康時と疾病時のからだの変化なども解説。
薬の形状ごとにその動きを映像と人体模型でシミュレート。注射剤や坐剤などの薬剤模型をセットすると、それぞれが体内に吸収され、血液によって全身に分布し、肝臓で代謝され、排泄される様を臓器が光ることで順に追うことができる。
気管支炎などを事例に、病気に対する薬の働きを対戦ゲームも交えながら解説。
たくさんの物質(化合物)の中から、薬の種を探すスクリーニングシミュレーションが体験できるコーナー。
2Fのメインフロアの奥にある3面シアター。通常は薬に関する年表となっているが、15分おきに「くすりの未来」という映像が流れる。
近代的なビルが立ち並ぶなか、突如現れるDaiichi Sankyoくすりミュージアム。第一三共の本社ビルA館の一角にある。薬のカプセルをモチーフにしたポップなイラストが可愛らしい。| 名称 | Daiichi Sankyo くすりミュージアム |
|---|---|
| 所在地 | 中央区日本橋本町3-5-1 |
| 電話番号 | 03-6225-1133 |
| 料金(税込) | 無料 |
| 営業時間 | 10:00〜18:00(最終入館は閉館30分前まで) |
| 休館日 | 毎週月曜(祝日の場合、翌日)、年末年始 |
| アクセス | JR総武線快速「新日本橋駅」徒歩1分 銀座線・半蔵門線「三越前駅」徒歩2分 |
| 公式サイト | https://kusuri-museum.com/ |
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