CLEAR GALLERY TOKYOにて、緒方数馬と岩切秀央の2人展が開催。

 緒方は、道具・既製品を作品の素材としながら、そこから道具本来の使用目的を排除し、ひとつのビジュアル要素として危ういバランスで組み合わせていくことで、詩的な余白と瞬間的な美しさが混在するオブジェを作りだす作家だ。
 一方岩切は、土を練って“石”をつくるというユニークなスタイルで、その制作過程に作家自身の時間を投影させ自己を表現している。陶芸の古典的な手びねりの技法を使いながら、用の美という陶芸の根源的な意識から離れたその作品群は、緒方の作風と通ずるものがある。このように、本来の意味や用途から離れたところで生まれる偶発的な造形美や自然物の存在感には、純粋に見入ってしまう魅力がある。
 本展に合わせて共同制作された作品にも独特の力があり、それぞれの素材が示唆する意味とは無関係のイメージとして再構築されながら、2人の思考の違いや物質的な距離が共鳴しあい、緊張感ある彫刻作品に。日本庭園を意識した、ピンと張りつめた空気を感じる展示空間から2人の呼応する世界を感じ取りたい。

【会期】7月3日（金）〜8月1日（土）
【休廊日】日月祝
【時間】12:00〜18:00