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熱帯の楽園の虚構性を巧みに示唆。シンガポール出身作家、ヒルミ・ジョハンディの日本初個展

熱帯の楽園の虚構性を巧みに示唆。シンガポール出身作家、ヒルミ・ジョハンディの日本初個展

OTA FINE ARTS(六本木6-6-9 ピラミデ3F)

2021/10/19(火)  OTA FINE ARTSにて、シンガポール出身の作家、ヒルミ・ジョハンディの日本初個展「Landscapes and Paradise: Poolscapes」が開催中。

 シンガポールに残る映像・写真などのアーカイブ資料から見慣れたモチーフを抽出し、ペインティングの上で再構築する手法をしばしばとるヒルミ。本展では、1980年代から90年代にかけて作られたポストカードやポスターに描写された、熱帯の楽園や理想の観光地としてのシンガポールに関心を寄せ、贅沢や快楽を示唆するモチーフとして登場するスイミングプールの描写を追求。
 彩度を抑えつつ湿度を感じさせる、ヒルミ独特のペインティングからは、熱帯の空気をはらんだ陽気でノスタルジックな雰囲気が伺えるが、登場する人物や植物などは、明らかにスケールや空間に違和感を持たせて面が構成されていることに気づく。それと同時に、舞台装置を想起させる描写や立体物を空間に配置することで、この一見楽園のようなシーンは、現実ではなく虚構、もしくは舞台の物語の一部なのではないかという疑念を観る者に抱かせる。
 観光地などに誰もが抱く理想的なイメージが、社会や歴史の思惑のなかで意図的に「作られた」ものであることを巧みに示唆する、作家の新作群は見ごたえありだ。

【会期】10月2日(土)〜11月20日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】12:00〜18:00