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キャンバスに打ち付けるように命を吹き込む アンス・アルトゥング展

キャンバスに打ち付けるように命を吹き込む アンス・アルトゥング展

ペロタン(六本木6-6-9 ピラミデ1F)

2022/6/16(木)  アンフォルメルを代表する主要人物として知られる、ドイツ出身のフランスで活動した画家、アンス・アルトゥングの個展が開催中。

 アルトゥングは戦後日本においても抽象絵画、抽象表現の先駆者として知られ、1951年に東京で開催された「サロン・ド・メ」では、絵画《T1948-16》がセンセーションを巻き起こした。
 キャンバスに打ち付けるように描かれる筆跡が特徴的な作品は、大きな刷毛、ローラー、枝、ほうき、スプレーなどの多様な道具を用いて生み出されている。
 アルトゥング氏は「いつだって素速く描かなければならない。さもなければ、生気を失ってしまう」とし、その素速い筆勢は、井上有一による凄まじい勢いの書や、篠田桃紅の華奢で閃光のような書を想起させる。また、彼が描くいくつかの形から、松葉、笹葉、藻類など日本的な植物を連想させるという評論家もいる。全くの偶然ながら、日本の書や墨絵にも似た作品の表情に自然と惹き込まれる。
 ブルーやブラックなどの寒色系の作品が多く展示されている最後に、趣の異なる暖色系の作品が紹介されているのも興味深い。

 瞬間性をキャンバスに収めたいという欲求と、超越的な熟練の技との狭間で、逝去するその日まで毎晩制作を続けたアルトゥング。命を吹き込むような筆跡をぜひ間近で鑑賞してほしい。

【会期】5月21日(土)〜7月2日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】12:00〜18:00
【画像】Views of Hans Hartung’s exhibition at Perrotin Tokyo. Photo by Kei Okano. Courtesy of Perrotin & Hartung-Bergman Foundation