ダ オルモ(神谷町)
神谷町駅から徒歩2分、麻布台ヒルズ ガーデンプラザA棟から道を挟んで向かい側に「間違いなくおいしい料理が食べられる」と評判のイタリアンレストラン「ダ オルモ」がある。
シェフの北村征博氏と、サービスを担うソムリエの原品真一氏が2012年の創業から二人三脚で営み続け10年以上。口コミで人気が広がり、予約必須の店となっている。また、飲食のプロからも、プライベートで通う店として名が上がることが多い。
店内は、カウンター4席とテーブル席が20席。入口に近い席は、出窓から明るい光が入る。店の物件を探す際、駅から近いのに静かで心地よいことと、この出窓が気に入ってここに決めたそうだ。奥の席は、シンプルな内装で居心地の良い空間となっている。「おいしい料理があれば装飾は必要ない」と、すっきりとしつらえてある。
店名のオルモはイタリア語で「けやき」、ダは「〜のところで」を意味する前置詞だ。けやきのように力強く根を張り、四季を映しながら人々が集う店でありたいとの願いが込められている。
まさにその名の通り、長年の常連客など、この店の料理を楽しみにさまざまな人が訪れる。
北村シェフは2000年に渡伊し、ロンバルディア、エミリオ・ロマーニャ、トレンティーノ=アルト・アディジェと、北イタリアの三州で修行を積んだ。その経験に基づいた料理は滋味深く、何度でも食べたくなると、リピーターが多い。帰国後にシェフを務めたレストランで、ソムリエの原品氏と出会う。
原品氏は100席以上のレストランでサービスを取り仕切るなど、豊富な経験に基づく心のこもったサービスに、顧客はもちろん同業者にもファンが多い。
ランチタイムは近隣で働く人を中心に、以前近くで働いていたときに味わったランチが忘れられない、と遠方から訪れる人など、ディナータイム同様にバラエティに富んだ客層でいつも賑わっている。
ランチは2種のスタイルから選べる。一つは週替わりのランチコース、もう一つはアラカルトとなる。
ランチコースはプリモピアットをメインに、グリーンサラダと自家製パン、食後の飲み物がつく。プリモピアットはイタリア語で「一皿目」。前菜の後に出てくる料理のことで、パスタ類が多い。ダ オルモでは2種のパスタの盛り合わせとなり、一つは日本でもおなじみのロングパスタ、もう一つはショートパスタやラザニア、リゾットなどとの組み合わせとなる。
「その季節で食べてもらいたい、味が濃く香りのよい旬の食材を使います。二つのパスタを交互に食べても、またソースが少し混ざってもおいしいように、工夫しています」。
この日は「コンキリエ 鮭と根セロリのクリームソース」と、「スパゲッティ 蝦夷鹿と青菜のトマトソース」の組み合わせ。コンキリエは貝の形でおなじみのショートパスタで、鮭のうまみたっぷりのクリームソースがくぼみの部分によくからんでいる。程よい柔らかさの根セロリが良いアクセントとなって、ソースにさわやかな風味をもたらしている。
スパゲッティの方は、蝦夷鹿がほろほろに煮込まれていて、肉とソースとの一体感が素晴らしい。青菜は、ほうれん草と小松菜の2種が使われており、それぞれの香りと味わいがソースと調和して、幸せな気持ちになる味わいだ。
合わせて100グラムと、たっぷりとおなかを満たしたい人にも大満足の食べごたえ。また、小食の人でも2種の味の違いが絶妙なので、食べ終わってすぐに「また食べたい」と思ってしまうのだ。
取材日のパスタはクリームソースだが、基本的にランチ後も働く人のために、パスタは軽めに仕上げることが多いそう。この気遣いもオフィスワーカーに長く愛されるポイントだろう。
火曜〜金曜に楽しめる週替わりランチコースの内容は、店舗SNSでチェックしておきたい。また、ランチのラストオーダーは14時なので、遅めのランチをとる時のために覚えておこう。
ランチのサラダも大好評だ。トップの写真のとおり、たっぷり盛り付けられたメインのパスタと並べても負けないほどの山盛りで提供され、野菜不足が気になる人や、女性に大好評。また、プラス100円でさらに大盛りに!
「ランチのサラダには、この店の創業前から付き合いのある『上野原ハーブガーデン』の野菜を使っています。ここのグリーンは香りや辛みなど、個性がしっかりしていて本当においしいのですよ」。
味わうと、おどろくほどやわらかく、でもシャキッとした歯ごたえ、爽やかな辛み、香り高く味の濃い野菜と、五感で楽しめる。シェフがこのサラダのために作る、アンチョビとリコッタチーズを使ったドレッシングを合わせると、いくらでも食べられそうだ。
「創業当時からパスタ2種、サラダ、パン、ドリンクというコーススタイルは変わらずに続けています。近くで働く人が多いので、昼休みの1時間で食事を終えられるように計算した、ビジネスランチスタイルです。週替わりのメニューを楽しみに、毎週お越しいただく方も多いです。12年経って変わったことといえば、ランチでアラカルトを召し上がるお客様が増えてきました。コースを食べて、次回はアラカルトでという方、小さいお子様がいらっしゃって夜は来られないけれど、ランチで夜のメニューを食べたいという方など、さまざまです」。
ランチで夜のアラカルトメニューも楽しめるとはうれしいが、多忙なランチタイムで対応可能なのだろうか。
「お時間をいただくこととなりますが、可能です。召し上がりたい料理があれば、予約時にあらかじめお伝えいただくか、ご注文の際、早めにお知らせいただけるとありがたいです」。
また、ランチタイムでの歓送迎会や忘年会、新年会など、通常メニュー以外の希望も、人数と予算を伝えれば対応可能とのこと。通常のランチでも予約で満席となることも多いので、なるべく早めに、人数が多い場合は2〜3週間ほど前に連絡するのが望ましい。
ランチでダ オルモの味に出合い、「ぜひディナーも」とリピーターになる顧客が多いという。ディナーでは、北村シェフの修行先、トレンティーノ=アルト・アディジェ州の郷土料理なども楽しめる。
なぜ修行した3州の中で、日本ではなじみの薄いトレンティーノ=アルト・アディジェの料理に一番惹かれたのだろうか。
「イタリアで最後の修行先だったのですが、他の地方とは全く違う料理でした。田舎っぽさといいますか、なつかしい味のものが多く魅力でした。それがまず一つ。あとは、人ですね。オーストリアと接しており、歴史的にも複雑な地域なのですが、自分たちの存在価値を料理で表現しようという心意気が強く、感銘を受けました」。
北村シェフの料理の神髄ともいえるディナーで、ぜひ味わってみてほしい。
毎年のように新しい店がオープンし、競争が激しい東京で、10年以上支持されるのは大変なことだ。料理がおいしいことはもちろん、お店で過ごす時間も大切な条件となる。サービスを担う原品氏の存在も、ダ オルモには欠かせない。
19歳で『サッカーを観るために』イタリアに渡り、フィレンツェの語学学校に通いながら9か月ほど滞在。帰国後、飲食店にて料理人として従事するも、生涯の師である立石滋氏の「サービスに向いている」というアドバイスでサービスへと転換。北村シェフと出会った新宿のトラットリアでは、マネージャーを勤めた。
「東京のレストランはものすごくレベルが高く、その中でどう生き残っていくか、最後のひと押しは僕たちサービスの存在だと思います。また来たいと思っていただき、流行り廃りに流されないお店を作るということは、サービスにおいてとても大事なことです」。
ランチのドリンクについて尋ねると、プラス440円でランチビールやスプマンテ(イタリアのスパークリングワイン)が楽しめるとのこと。これはコースに追加注文できるデザートと同じ価格だ。
「例えば男女でいらっしゃったお客様の女性がデザートを注文すると、同額なので男性も気軽に注文できますよね。『ちょっとお試しにいかがですか』というメッセージでもあります。440円ではありませんが、グラスワインを注文される方も多いです」。
仕事のある日は難しいが、平日休みのお楽しみにするのも良いだろう。
最後に、原品氏がサービスを行う上で心がけていることを聞くと
「人によって、何がうれしいのか、どうして欲しいのか違いますから、テーブルに目を配り、人によって必要な距離感で接することは大前提。その上で他のお店では得られないような時間を過ごせたと思ってもらえるよう心がけ、長いお付き合いを重ねることができれば、その方の人生に寄り添えるぐらいの距離感で、お店があることが理想です」。
北村シェフの料理と原品氏のサービス、どちらが欠けても長く愛される店、ダ オルモは成り立たなかっただろう。また、取材時も厨房でのチームワークの良さが見受けられた。
チームワークといえば、ダ オルモの厨房とサービスを長く支えたスタッフが迎えてくれる姉妹店「インプロンテ」が、今年の6月に阿佐ヶ谷でオープンした。夕方からの営業なので、休日に訪れてみてはいかがだろうか。
料理のおいしさと心地よいサービスで、高い人気を誇るダ オルモ。まずは評判のランチに足を運んで、心もおなかも満たしてほしい。
名称 | ダ オルモ(da olmo) |
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所在地 | 港区虎ノ門5-3-9 ZELKOVA5 101 |
電話番号 | 03-6432-4073 |
営業時間 |
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定休日 | 日・祝 |
公式サイト | https://www.da-olmo.com/ |
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