これまでにない読書体験ができる知の拠点、未来型の書店がつくる『書店の未来』

magmabooks(虎ノ門)

  • 2025/08/21
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2025年4月9日、虎ノ門ヒルズ森タワーとステーションタワーの間に位置する地上4階、地下3階建ての複合施設「グラスロック」が全店開業となり、この日この地にオープンしたのが、『知は熱いうちに打て』をテーマとした未来型の書店、丸善ジュンク堂書店の「magmabooks」だ。

新しいアイデアや価値が発信される「国際新都心・グローバルビジネスセンター」を目指す虎ノ門ヒルズにとって、この地に欠かせなかったものが、知の拠点となる『これまでにない書店』だった。

店舗外観丸善ジュンク堂書店の『これまでにない書店』magmabooksは、虎ノ門ヒルズのステーションタワーと森タワーをつなぐTデッキが2F部分を貫通する、グラスロックの2Fと3Fにある。まさに各ビルにつながる知のハブと言えるだろう

「4年ほど前にデベロッパーの方より、『(虎ノ門ヒルズの)4つのビルの真ん中に、知の拠点としての書店をつくりたい』『これまでにない、未来型の書店を作ってほしい』と打診をいただきました。それをもとに弊社とデベロッパー側とで打ち合わせを重ねて生まれたのが、『知は熱いうちに打て』というコンセプトです。従来の書店では、書籍を探しに店に行き、読むまでがゴールですが、ここでは、本を探しに来るのみではなく、本と出会い、本から得た着想をその場で何らかの形にアウトプットするという、『読前・読中・読後』の一連の流れを体験できる書店です。その体験の中で、知がマグマのようにフツフツと沸き上がるような書店という意味でmagmabooksという店名が決まりました」。
と話してくれたのは、magmabooks店長の渡辺泰弘やすひろ氏。

magmabooks店長の渡辺氏新しい事へのチャレンジは楽しいですか、という質問に「そうですね。また、このユニークなビルをみて『ここに書店ができるとは、どうなっていくのだろう?』と楽しみでした。と笑顔で答える渡辺氏

書店員として18年の経験をもつ渡辺氏は、大阪でキャリアをスタート。その後吉祥寺店、池袋本店などの都内の大型店舗で文庫本や新書を担当、その後埼玉や神奈川の店舗で店長を経験し、magmabooksの店長に就任した。
『これまでにない書店』の店長に任命されたとき、プレッシャーは感じなかったのだろうか。
 「私はもともとプレッシャーを感じない方なので、そこが良いのかもしれません。もちろん責任はありますが、初めてのことばかりの店舗なので、会社からは『失敗を恐れず、いろいろな事にチャレンジする店であってほしい』と言われています。全てがチャレンジなので、ベストを尽くせば結果がついてくるだろうと信じています」。

「magmabooks」2Fの図「magmabooks」2Fの図。一番右側の赤い印がエントランスとなるが、一番奥の「文具・雑貨」以外はユニークな言葉が並んでいる。この図をみるだけでも、『これまでにない書店』であることがわかるだろう

では、実際にどのようなところが『これまでにない書店』なのだろうか、『知は熱いうちに打て』とは?
 渡辺氏の案内で、magmabooksを見ていこう。

2F入口から見た知の森2Fのエントランスから入ってすぐの「new books」コーナーの向こうに広がる「知の森」

グラスロックの2Fと3Fの2フロアにわたるmagmabooksは、各階でコンセプトが異なり、2Fは「知の森」となっている。
 ここでは、森をイメージした深い緑を基調とする曲線を描く棚が並び、ところどころ樹木を思わせるような円形の棚もある。どこからか鳥のさえずりが聞こえてきて、本の森に迷い込んだようだ。

「知の森は、訪れた人が本と新たに出会ってもらうコーナーです。いくつかテーマを設けていますが、ふらっと来店した『人』でも興味を持つものでなくてはならない。そこで、われわれ『人類』がどのような問題、『問い』を持っているのか、というところからテーマをつくり、それを『過去・現在・未来』と、大きく3つの時間軸で分類しました」。

知の森 フラッグ「来た道を振り返る PAST」、「私たちの現在地 NOWADAYS」、「どの道を行く? FUTURE」と書かれたフラッグが並ぶ書棚。この言葉を見るだけで、ワクワクして立ち止まらずにはいられない

「過去(PAST)のコーナーでは、人類がどういう道をたどってきたのか、ただの進化・科学の本だけではなく、文化なども含めて。そこから奥に進むと、われわれ人類は今、どういうところにいるのか。私たちを取り巻く環境だったり、生活だったりの現在地点です。そしてわれわれは今後、どういう道を歩んでいくのか。ここでは未来の化学技術だけではなく、アート、人文書や今後の社会情勢など、幅広く本を揃えています。さらに3つのテーマそれぞれを細分化しています」。

知の森を散策していると、ドキッとするテーマもあれば、日頃からモヤモヤとしていた想いの回答となりそうなものや、「そうそう、前から気になっていたのよね…」と共感するテーマまで、本棚を眺めながらアイデアが浮かんだり、考えさせられたり、新しい分野へ好奇心が湧いたりするのだ。
 「ここで、そのような体験をしていただけるとありがたいな、と思っています。知の森という名のとおり順路も決まっていないので、森を彷徨っていろいろなもの、思わぬものに出合ってほしいです」。

知の森の棚曲線を描く「知の森」の棚は、思わぬ本との出会いを手助けしてくれる。「従来の垂直の本棚より、曲線がある方が一度に視野に入る量も増えますし、視界の端にチラッと気になるものが飛び込んできやすいのです」と、渡辺氏

「知の森」の棚は、デベロッパー側からの依頼でもある『これまでにない書店』を具体化したものであるが、形にするまでは大変だったのではないだろうか。

「キュレーターを入れず自社の書店員だけで作った棚ですが、これだけ幅広いテーマごとの棚をつくり上げていくことは並大抵のことでは実現できなくて、かなりの時間を要しました。この規模になると、magmabooksのメンバーだけでできるものではなく、弊社の全国の書店員の知見を集中させて、選書もテーマごとに推薦を募り、まさに全社をあげて作り上げました」。
 それぞれの本を棚のどの位置に置くかなどの詳細は、社内でも少数先鋭の選書チームを作り、magmabooksのスタッフと毎日のように連絡を取り合い作りあげたという。まさにこのフロアをつくること自体が大変なプロジェクトだったそうだ。

知の森の棚「細胞の不思議」のコーナーでは、新書「生命とは何か」や、漫画「はたらく細胞」など、専門書から絵本まで、同じテーマのあらゆるジャンルの本が一堂に会する。棚のスペースの中で本の手前に別の本が積まれている個性的なレイアウトは「奥まで手を伸ばして本を取るなど、宝物を掘り出すみたいでワクワクしますよね」と、渡辺氏

だが、これまでには無いものをつくり上げることは、楽しくやりがいがあるものでもあっただろう。
「そうですね。やはり本屋で働いている人間は本好きが多いので、『この本を読む人は、こういうものも好きだよね』と連想するのが好きですし、そのような書店員ならではのアイデアを形にできるのがここの本棚なので、皆にとってやりがいのあるプロジェクトだったと思います」。

ネット書店で本を買う時も、『この本を読んだ人に』とお勧めの本が紹介されることも多いが、ここの本棚を見ていると、読書の先達や本のプロフェッショナルから「これもおすすめですよ。読んでみて!」と声をかけられ、知識をお裾分けしてもらえるような気持ちになる。全国の丸善ジュンク堂書店員の知見が詰まったこの空間はなんと贅沢なのだろう。
 「実際に読んで、良かった本を皆すすめているので、そういう意味では機械的ではなく、人の手が入ったからこそ実現できたと思っています」。

たくさんのテーマがあり、気づきも多い「知の森」だが、この森で迷子になりそうな時はどうすればよいのだろうか。
 「迷いながら新しい本と出会えることが醍醐味でもあるのですが、その場合は『問い散歩』を活用してみてはいかがでしょうか?」。

「問い散歩」コーナー「問い」の設置は、森の下草をイメージして什器のデザインをオーダーしたそう。『チョコレートはなぜ人を魅了しつづけるのか』という身近な問いから、『私達はなせ、生き延びようとするのだろう?』という哲学的なものまでさまざまだ

2Fエントランス入って左方向のサイネージの下に「問い散歩」コーナーがあり、木の葉をイメージした「問い」を片手に知の森を散歩できる。表面にある「問い」に対し、裏面には丸善ジュンク堂書店員によって選ばれた3冊の本が答えとして紹介されている。
どのような答えが導き出されるのか、いつもと違う本との出会いを求めて「問い散歩」に出かけてみよう。

木の葉をイメージした「問い」いずれの「問い」も興味深いので迷いつつ、『時代を超越する美しさとはなにか?』をセレクトして出発!

沢山ある問いの中から1枚選ぶと、裏には3冊の本が紹介されている。そのうち1冊を選び、「この辺りにあるかな?」と見当をつけて歩くのだが、すぐには見つけられない。だが、この答えを探す散策が楽しいのだ。

「問い」の答えの1冊「ヨーロッパの装飾と文様」興味深い本の数々に気を取られながら森を歩き、やっと見つけた答えの1冊「ヨーロッパの装飾と文様」は装丁がとても美しい。同じ棚にあるほかの本も、次々と気になってくる

知の森を彷徨って見つけた「問いの答え」は、なんだか特別な1冊と出会ったように感じる。棚をよく見ると、「問い散歩」の答えの本は、ヒントのようにPOPが立っていた。興味があれば、同じ棚にある本と一緒に読むのもよし、他の答えの2冊とあわせて読むのもよし、であろう。
 木の葉のような「問い」は、しおりとしても使えるようにデザインされている。オープン当初はあまりの人気に、欠品した時期もあったそうだ。

この店を訪れる人は「知の森」でどのように過ごしているのか、昼どきに店舗を訪れる人を見ていると、一人で、また数人グループで店内を散策するオフィスワーカーや、近辺に遊びに来た人の姿がたくさん見られた。
 「うわ〜 ここすごい!面白い!本好きの友達に教えよう」と楽しそうに話す若い女性や、「私はあまり本を買わない、というよりいただく事が多いのだけれどね。でもここは良いね、面白いね」と部下らしき人と話すビジネスパーソン、「あの〜、このお店、他にはない体験ができる本屋さんと聞いたのだけれど、どのように楽しんだらよいのかしら?」と店員に尋ねる年配の女性など、多くの人が期待をもって来店し、楽しんでいる様子が見られた。

次は『知は熱いうちに打て』について渡辺氏の解説とともにひも解いてみよう。
本との出会いをアウトプットする空間でもある有料ラウンジ「magmalounge」は、集中するための<FOCUS(フォーカス)>と緩和できる<CALM(カーム)>の二つのスペースが、いずれも3Fにある。

「magmabooks」3Fの図magmabooks店舗内3Fの図。「magmalounge」の没入するゾーン<FOCUS>の半個室と緩和するゾーン<CALM>は店内の両端に、間に<FOCUS>の完全個室がある。利用の際は最初に中央のキャッシャーで受付を済ませよう

2Fから3Fへと続く階段にも面白いしかけがある。名作の一節が並ぶ『言葉の雨』は、その下に立つと、まさに上から降ってくるような言葉にインスピレーションが湧きそうだ。

名作の一節が並ぶ『言葉の雨』太宰治「人間失格」や梶原基次郎「檸檬」など、名作の一節が並ぶ『言葉の雨』。お気に入りの言葉を探すのも楽しい

「言葉の雨」をながめながら3Fに上がって左手に、magmalounge<FOCUS>の入口がある。ドリンクとスナックが設置されたコーナーもあり、自由に楽しみながら読書や作業に集中できる。3Fの中央にあるキャッシャーで受付を済ませてから、利用開始となる。

(左)<FOCUS>の入口、(右)ドリンク&スナックコーナー<FOCUS>の入口と、ドリンク&スナックコーナー。『集中したい時に』と人気のラムネ菓子はパートナー企業「magmalab」に加盟している企業のものだ

<FOCUS>は、ハニカム構造の半個室が30席のほか完全個室が6室あり、いずれも1時間から利用可能。電源やWi-Fiは無料で利用可能で、充電ケーブルやブランケットなどの備品の貸出も行っている。
受付を通してmagmabooks内の書籍を3冊まで座席に持ち込みができ、時間内なら本の変更や新たな3冊を選ぶこともできる。取材前にこのワーキングスペースを1時間ほど体験させてもらった。

(左)半個室が並ぶ<FOCUS>の様子、(右)半個室の様子(左)半個室がずらりと30席並ぶ<FOCUS>の様子(右)3冊の本とコーヒーとスナックを片手に<FOCUS>を体験。最初は狭いかも、と思った半個室の広さも集中するのに最適で、居心地がよく落ち着くスペースだ

正直に言おう。体験前は「ワークスペースはどこも変わらないよね」という気持ち半分だった。
ところが、本を読み始めるとここでも『これまでにない』ほどに集中することができ、我ながら驚いた。
 その理由を分析してみると、まず音楽が心地よい。ゆったりした曲だけではなく、時々アップテンポな曲に変わるなど、その緩急が絶妙で作業に集中できるのだ。また、照明がまぶし過ぎず暗すぎず、ちょうどよい明るさなので、長時間文字を追っていても目が疲れない。さらに個人的には椅子の固さや背もたれの具合が丁度よく、腰に負担が全くない点も気に入った。

「BGMも照明も、私どものパートナー企業さんがそれぞれ開発したものです。音楽は深い集中に入り込むためのニューロミュージックを、照明はOLED(有機EL)照明を採用しており、目に優しいことはもちろん、読んでいる本のページに頭の影がかからないのです」。
 渡辺氏の説明で、いつもより読書に没頭できた理由がよく分かった。カフェなどで作業するのも良いが、効率を考えたらこのスペースを利用しない手はないだろう。仕事中にアイデアが欲しい時など、気軽に足を運んでみてはいかがだろうか。

(左)<FOCUS>個室、(右)半個室の窓際席(左)全部で6室ある個室スペース。窓からの景色も心地よい(右)半個室で人気があるという明るい光が入る窓際の席

「オープンなワーキングスペースは多くありますが、『新しいアイデアをその場で形にする』ためには集中できるゾーンが必要と考え、私どもでは半個室や個室という形を採用しました。ですので、ただ書店内にワーキングスペースを設置しました、というのではなく、本を読んでそこから得た着想をシームレスに具体化することができるワーキングスペースです」。
平日は1〜2時間の利用者が多く、土日は1日ゆっくりと滞在する方が多いそうだ。

<CALM>のsound biotope心癒され、まるで瞑想しているような感覚を体験できる<CALM>のsound biotopeは、パートナー企業の取り組みだ

集中した後は、緩和が必要だ。沸き立った思考をリセットし開放する空間<CALM>を見ていこう。
薄暗く静寂に包まれた空間には、水が滴るような音が聞こえてくる。これは、日本庭園の技法である水琴窟のシステムを起用した「sound biotope(サウンドビオトープ) -magma edition-」という、自然現象が生み出す「音」によって創造性を高めるものだ。<FOCUS>で研ぎ澄まされた集中を<CALM>で緩和することで、思考が解き放たれ、創造性を引き出す。

「スマホなどが普及している現代、大量の情報に触れることはたやすくなっていますが、インプットしたものを使いこなし新しいものを生み出すために、集中によって生じた緊張状態を緩和させることを目的とし、<CALM>を併設しました」。
 昔から、入浴中にひらめきが生まれるなど、思考を手放したときにアイデアが浮かぶことが多い。思考に自由をもたらし、新しいアイデアが生まれることを目的とした空間、<CALM>もぜひ併せて体験してほしい。

3Fの入口からみた店内3Fの入口からみた店内。この入口は、地下から続くエスカレーターで3Fに向かったところにある

ワーキングスペースはもちろん、3Fの本棚にも大きな特徴がある。
「3階は『探せる本棚』をコンセプトとしていますが、2階の知の森の樹木が上につき上がり、幹が広がっていくようなイメージのつくりです」。
 面白いのは、ビジネスやコンピュータ、語学書などは多くの書店で見られる直線の棚だが、人文、芸術書やコミックなどのコーナーは丸みを帯びた棚が採用されている。

(左)コンピュータ、ビジネス書等の棚、(右)人文、アート・デザイン書等の棚(左)カチッと並び、目当ての本が探しやすいコンピュータ、ビジネス書等の棚(右)対照的に曲線を描くような棚が採用されている、人文、アート・デザイン書等の棚

また、ぜひ見てほしいのが、文芸・文庫・新書のコーナーだ。
出入り口を除き、ほぼ360度を本で囲まれるような棚は、本好きなら思わず声をあげてしまいそうになる眺めだ。
「こちらも2階の棚と同様に、円形の什器を大胆に使うことで、人の視界に入る本の情報量が多くなっています。ぜひ本に囲まれる感覚を体験していただきたいです。2階から入ってこられた方には3階も見ていただきたたいですし、3階から来店された方にはぜひ2階も足を運んでほしい。片方だけ見てお帰りになるのは、もったいないな、とも思ってしまいますね」。

文芸・文庫・新書のコーナー渡辺氏が語った通り、まさに2Fの森の樹木が育ち大きな幹になったような、圧巻の棚。検索機もあるので、目当ての本を探す時にもぜひ

また、3Fで力を入れていると渡辺氏が語るのが、児童書コーナーだ。大きな窓から光が差し込む明るいコーナーは、本のほかグッズも数多く置いてある。
「近頃、電子書籍の普及も進んでいますが、読み聞かせなどで使う絵本は、紙の書籍のニーズがとても高いので、それにお応えしたいと思っています。また、子どもの頃から本にふれることは、本を読む習慣をつけ、未来の本好きを育てるためにとても大事なこと。そのためにも、このコーナーには力を入れたいのです」。

児童書コーナーベビーカーにも対応した広々としたスペースで、ゆっくり本を選ぶことができる児童書コーナー

magmabooksがオープンして3か月経ったが、オープン当初からどのように変わってきたか、また今後どのようにしていきたいのか、という質問に渡辺氏は、
 「開店前と比べると、私どもを含めグラスロックが全館オープンしたことで、街が明るくなったと聞きます。そういう意味では、街全体が活気づいたことに一役買えたかなと思っています。今後もオフィス街の公園のように皆が集い、街が明るくなるような、知の拠点でありつつ憩える場でもありたいと思っています。ビジネス街の書店は、休憩時間に足早に本を買っていく、というイメージがありましたが、知の森をゆっくり散歩してくださる方が多いのですよ。仕事で煮詰まった時にふらっと来ていただくとか、ヒントを得たい時に頼ってもほしいですし、リフレッシュしたいという時にも足を運んでいただける、オアシスのような存在でありたいです」。

(左)3Fのソファーコーナー、(右)文具コーナー(左)オアシスといえば、magmabooksを訪れる人に大人気なのが、3Fのソファーコーナー。本を探すときのひと休みに活用したい(右)オフィスワーカーに人気の文具コーナー。「祝儀袋など、この辺りで売っているところが少ないものがあって助かる」「こだわった文房具がみつかる」と好評だとか

「最近は皆、『時間がない』と本を読まない。今は動画などから情報を得ることもできますから。それは一つの形なので否定はしません。でも、本を読むことは自分の時間をぜいたくに使える楽しみだと思います。また、ただ時間を使うだけではなく、短時間で効率よく得たものと比べると、自分で能動的にページをめくって得た知識は、記憶に残るものが違います。それが10年、20年と蓄積すれば、自分の言葉で話すことができるなど、良い点がたくさんあると思うのです。だから本と出会っていただき、本をきっかけに日々の生活が豊かになる経験をしていただきたい。そのために街にリアル書店があるし、あり続けるべきと思っています。『未来型の書店を』と依頼を受け、magmabooksを作り上げたわけですから、これからは書店の未来を作っていきたいです」。

本を読み、少しずつ知を積み上げ、自分の世界を広げることで、私たち一人ひとりの中に自分だけの「知の森」が育っていくだろう。
その足掛かりとなる、「未来型の書店がつくる書店の未来」に期待したい。

基本情報

名称 magmabooks
所在地 港区虎ノ門1-22-1 グラスロック2・3階
電話番号 03-6273-3873
営業時間 11:00〜20:00
公式サイト https://www.maruzenjunkudo.co.jp/pages/magmabooks

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