
能楽や茶の湯にまつわるコレクションを通してひも解く
住友家におけるもてなしの美学
住友家歴代当主が築いてきた“もてなし”の文化に焦点を当てる展覧会が開催。
能楽と茶の湯という日本の伝統文化を通じて、客人を迎える心と美意識がどのように育まれてきたのかを、貴重なコレクションとともに紹介する。
住友家歴代の当主たちは、教養として能楽や茶の湯などをたしなむとともに、自ら能や茶の会を主催し、客人をもてなすことでさまざまな交流関係を築いてきた。
特に能を好んでいた15代当主・住友吉左衞門友純(号・春翠)は、住友家に伝わる能関係の諸道具の多くを収集し、そのコレクション形成には能楽師・大西亮太郎(1866〜1931年)が大きく寄与した。
住友家に伝わる能道具のコレクションの中には、春翠が実際に身に着け舞を舞ったと考えられる装束や、7代当主・友輔が演能で使用したと考えられる能面など、歴代当主ゆかりの品も伝わっている。
また、大西は春翠の能の師であるばかりでなく茶の湯の友でもあり、大正期に春翠が催した茶会にしばしば参加していた。本展では、茶会を主催した春翠の美意識がうかがわれる茶会記に記録されている、大西の参加した茶会で使われた道具も観ることができる。
本展は3つの章立てで構成され、春翠を中心とした住友家のもてなしの美学を展開する。
第T章では、住友コレクションの能装束が約20年ぶりの公開となること自体が、一番の見どころであろう。
本展では、約100点に及ぶコレクションの能装束の中から、選りすぐりのものを紹介。いずれも能を好み、自らも嗜んだ住友家第15代当主・住友春翠によって集められ、実際に使用した痕跡が残るものも多い。これらの装束は単に鑑賞用としてではなく、演能に用いる目的で集められたものであることがわかり、華やかさだけでなく実用性を重視した収集の姿勢が、春翠の美意識を映し出す。
これらの装束の約7割は、観世流の能楽師・大西亮太郎の助力によって集められたものであり、深い交流がコレクション形成に大きく寄与している。
続く第U章では、住友家における演能の歴史と、大西亮太郎ゆかりの能道具に焦点を当てる。春翠が「杜若」のキリを舞った際に着用した長絹と共有する特徴を示す《紫地鉄線唐草模様長絹》や、きわめて珍しい造形を見せる面《妙作尉》などが登場。さらに、演能に欠かせない楽器類も展示され、春翠が大西を介して収集した《香包蒔絵小鼓胴》など、貴重な品々が並ぶ。
住友家では、自ら茶を立て客人をもてなすなど、供応の一環として茶の湯を取り入れる当主も多くいた。
5代当主・住友春翠が催した茶会の記録には、招かれた客人や使用された道具が詳細に記されており、茶の湯を通じたもてなしの姿が浮かび上がる。
第V章では、《小井戸茶碗 銘 筑波山》や、酒井抱一の下絵をもとに原羊遊斎が制作した《椿蒔絵棗》など、春翠の審美眼が光る逸品が紹介される。
さらに、テーマ展示「染織品と金属」では、能装束や茶道具に用いられる金襴や摺箔、刺繍など、染織と金属の融合による加飾技法にも注目。技術と美の交差点を探る展示となっている。
本展チケットを抽選で5組10名様にプレゼントいたします。ご希望の方は下記の応募フォームにご入力いただき送信ください。
なお、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。
締切:2025年11月26日(水)
| 展覧会名 | 企画展 もてなす美―能と茶のつどい |
|---|---|
| 会期 | 2025年11月22日(土)〜12月21日(日) |
| 休館日 | 月曜日(11月24日は開館)、11月25日(火) |
| 時間 | 11:00〜18:00(金曜日は19:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
| 会場 | 泉屋博古館東京 港区六本木1-5-1 >> 会場の紹介記事はこちら |
| 入館料 | 一般 1,200円、高大生 600円、18歳以下無料 |
| 公式サイト | https://sen-oku.or.jp/tokyo/ |
| 問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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