
奇想天外な冒険譚から、『ガリヴァー旅行記』の諷刺と想像力をひもとく
300年にわたって世界中の読者を魅了してきた『ガリヴァー旅行記』の魅力と、その背後にある視点や思想に迫る展覧会が、慶應義塾ミュージアム・コモンズで開催される。
アイルランド出身の作家ジョナサン・スウィフトが1726年にロンドンで出版した『ガリヴァー旅行記』は、刊行当初から各国語版に翻訳され、大人から子どもまで幅広い読者に熱心に読まれてきた作品である。一方で、本作は決して子ども向けの物語ではなく、重厚な版本のなかに鋭い「諷刺」や「笑い」が巧みに織り込まれている。
本展では、ユーモラスかつ強烈にシニカルなガリヴァーの冒険を通して、変幻自在な視点や、あらゆるものを多義的に見つめようとする好奇心、その先に広がる想像と創造の世界を紹介する。
『ガリヴァー旅行記』は、しばしば諷刺作品として語られる。しかし本展では、その諷刺が単なる批判や皮肉ではないことにも目を向ける。社会や他者を批評している自分自身までもが愚かに見えてしまう――そうした視線こそが、ガリヴァーの諷刺の特徴だ。作品のなかでは、人間社会や政治、海外の国々、科学の世界、さらには人間の身体までもが、好奇心に満ちた眼差しによって見つめ直されていく。良いところも、目を背けたくなるような部分も含めて冒険譚の形へとまとめ上げた点に、『ガリヴァー旅行記』ならではの魅力があると言えるだろう。
また本展では、「視点の変換」にも焦点を当てる。例えば、スマートフォンで地図や写真を拡大・縮小するように、現実の世界で縮尺が変化したとしたらどうなるのか。ガリヴァーは、そのような驚天動地の出来事を平然と受け入れながら旅を続けていく。そこには、近代初期のイギリス社会に満ちていた好奇心の空気も映し出されている。
また、作中でガリヴァーが日本へやって来るという点にも注目。日本ではあまり知られていないこの日本渡航記の背景には、ウィリアム・アダムズやエンゲルベルト・ケンペルといった、日英交流史上の重要人物たちがもたらした日本に関する見聞が存在していた。
『ガリヴァー旅行記』に込められた諷刺や想像力、そして東西交流の実相を、慶應義塾が所蔵する貴重な古典籍とともに紹介する本展。ガリヴァーの奇想天外な旅をたどりながら、作者スウィフトの秘められたメッセージを感じてみては。
| 展覧会名 | 『ガリヴァー旅行記』300年 ガリヴァーと奇想天外!ワンダーランド−18世紀イギリスのはじける |
|---|---|
| 会期 | 2026年6月1日(月)〜7月30日(木) |
| 休館日 | 土・日曜日、祝日(ただし6月13日、7月11日は開館)、6月15日(月)、7月13日(月) |
| 時間 | 11:00〜18:00 |
| 会場 | 慶應義塾ミュージアム・コモンズ 港区三田2-15-45 (慶應義塾大学 三田キャンパス 東別館) >> 会場の紹介記事はこちら |
| 入館料 | 無料 |
| 公式サイト | https://kemco.keio.ac.jp/ |
| 問合せ | 03-5427-2021 |
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