住友家15代当主の美意識をコレクションから鑑みる
明治・大正時代に住友グループの基礎を築いた住友友純(号:春翠)。文化活動に力をつくし、茶人としても名をはせた実業家の美意識を、青年期と壮年期のコレクションから鑑みる企画展です。
1864(元治元)年、公家の名門、徳大寺家に生まれた春翠は、1892(明治25)年に住友家の14代当主 住友登久の長女、満寿の婿として養嗣子となります。翌年に家督を継ぎ、15代 住友吉左衞門友純となりました。
銅山の鉱業をはじめ、多くの事業を手掛ける傍ら、1897(明治30)年に、アメリカとヨーロッパを外遊。欧米富豪の生活様式や慈善事業に私財を投じる文化活動に大きく影響を受け、1903(明治36)年、神戸の須磨海岸に洋館を建築します。フランス印象派やアカデミーの絵画、黒田清輝や浅井忠、パトロンをしていた鹿子木孟郎などの日本洋画、三代清風与平らの工芸、中国文物などで飾り、政財界の要人や駆け出しの芸術家、地元の住人などを招きました。西欧と東洋の美術品が共存した邸宅は独特の世界観を醸していたと言われています。
大正時代に入り、50代の壮年期を迎えると、次第に日本の伝統美術に関心が移っていきます。1915(大正4)年に完成した天王寺茶臼山の本邸で茶道具を取り合わせて歴史に残る茶会を催したほか、篆刻や所蔵古画の模写なども行います。公家出身らしく、華やかな中にもさびを秘めた“きれいさび”を好み、蒐集しました。
本展では、須磨別邸を飾った西洋や中国の美術品を取り上げる第一部、茶道具や花鳥画などの伝統美術品にクローズアップする第二部と、コレクションを2つの側面から展観します。第一部では、モネや藤島武二などの洋画や清時代の香炉などを展示するほか、3月21日(月・祝)までの前期のみ、京都の本館で展示されている中国古代青銅器25点を展示。第二部では、木島櫻谷「柳桜図屏風」、伊藤若冲「海棠目白図」、板谷波山「葆光彩磁珍果文花瓶」などの美術品とともに、茶臼山本邸の資料が展示されます。
展覧会名 | 住友春翠生誕150年記念特別展 バロン住友の美的生活 ―美の夢は終わらない。 【第一部】バロン 住友春翠 ―邸宅美術館の夢 【第二部】数寄者 住友春翠 ―和の美を愉しむ |
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会期 | 【第一部】2016年2月27日(土) 〜 5月8日(日) 前期:2月27日(土) 〜 3月21日(月・祝) 後期:3月23日(水) 〜 5月8日(日) ※青銅器特別展示は前期のみ 【第二部】2016年6月4日(土) 〜 8月5日(金) 前期:6月4日(土) 〜 7月3日(日) 後期:7月5日(火) 〜 8月5日(金) |
休館日 | 月曜日(ただし3月21日・7月18日は開館、3月22日・7月19日は休館) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 泉屋博古館分館 港区六本木1-5-1 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 800円、高大生 600円 |
公式サイト | https://sen-oku.or.jp/tokyo/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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