江戸時代の幕開けと共に生まれた新時代の美意識
江戸幕府の始まりとともに花開いた寛永文化。古典の復興と、瀟洒な造形を特徴とする雅な美の潮流に焦点を当て、宮廷文化から生まれた流れが当時の芸術へと結実していく過程を展観する企画展です。
1624年から20年間続いた寛永年間。後水尾院は古い儀礼、和歌などの古典文芸の復興に力を尽くします。優美さを追求する姿勢は、公家のみならず、武家や町衆にまで浸透し、美術作品にも影響。同時代を代表する茶人の小堀遠州、京焼の名工として名高い野々村仁清、幕府の御用絵師として活躍した狩野探幽らの作品にもその方向性は反映され、華やかな文化が生まれました。
本展では、5章立てで寛永文化を紐解きます。第1章では、寛永文化が花開くきっかけとなった江戸幕府による宮廷への経済的な融和政策、公家や武家などの身分を超えた交流がなされた文化人たちによるサロンなど、初期の文化動向を紹介。1620(元和6)年に行われた二代将軍 徳川秀忠の娘、東福門院の入内を描いた重要文化財「東福門院入内図屛風」(三井記念美術館)や、本阿弥光悦の書と俵屋宗達の画による「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」(サントリー美術館)などが展示されます。
第2章では、後水尾院と宮廷文化にクローズアップ。当時の和歌で重視された“親しみやすい優美な雰囲気”は、歌仙絵、物語絵にも向けられ、それらの作品を武家が受容し、宮廷の外にも「雅」な美意識が広く浸透していきました。後水尾天皇像や源氏物語絵巻などの作品から、その様子を探ります。
第3章から第5章は、宮廷文化の「雅」を茶の湯に導入した小堀遠州、色絵の技法を大成した野々村仁清、余白と淡彩の独自様式を確立した狩野探幽と、寛永文化を代表する3人の芸術家の動向を作品から眺めます。「瀬戸肩衝茶入 銘 飛鳥川」(湯木美術館)や「小井戸茶碗 銘 六地蔵」といった遠州の“きれい寂び”、「信楽写兎耳付水指」(三井記念美術館)や「色絵鴛鴦香合」(大和文華館)など仁清の多様な作品、「桐鳳凰図屛風」や「富士山図」(静岡県立美術館)など探幽が追い求めた“時代の美”と、それぞれの作品世界をじっくり展観できます。
展覧会名 | 寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽 |
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会期 | 2018年2月14日(水) 〜 4月8日(日) ※会期中、展示替えあり |
休館日 | 火曜日(ただし4月3日は開館) |
時間 | 10:00〜18:00(金・土は20:00まで) ※入館は各閉館時間の30分前まで |
会場 | サントリー美術館 港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,300円、高大生 1,000円 |
公式サイト | https://www.suntory.co.jp/sma/ |
問合せ | 03-3479-8600 |
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