生誕140年記念特別展 木島櫻谷

近代に京都で活躍! 情趣あふれる動物画など、再評価が進む日本画家

  • 2018/02/07
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動物画で知られ、明治後半から昭和初期にかけて京都で活躍した日本画家 木島櫻谷(1877〜1938)。平明で清澄な画風で、情緒あふれる姿を描いた櫻谷の動物画と、華やかな花鳥画を2期に分けて展観する、生誕140年を記念した企画展です。

1877(明治10)年、京都の三条室町の商家に生まれた櫻谷は、円山・四条派の流れをくむ今尾影年に入門します。また、儒学者で本草学者の山本渓愚(章夫)にも師事し、漢籍などを学びました。2つの伝統を踏まえながら新時代の感性を取り入れた画風は人気を博し、20代半ばには、京都の展覧会で例年入賞するようになります。竹内栖鳳に続く京都画壇を担う人材として文展・帝展で活躍。洗練された技術で写実的に描かれ、優美で温和な雰囲気を特徴とし、動物画が特に評判を呼びました。しかし、昭和初期頃から体調を崩して画壇の第一線から退き、書画や詩作を行う隠遁生活を送ります。1938(昭和13)年、不慮の事故で急逝しました。

本展では、パート1で動物画、パート2で花鳥画に着目します。パート1では、20代半ばの青年期から晩年までを3章立てで展開。「第1章 青年のころ−雄渾自在な筆勢」では、20代半ばから人気画家として活躍していた櫻谷の伝統的な鳥獣画を中心に、20代後半の西洋画の要素が加わった作品なども含めて展示します。京都の旧家に長年秘蔵され、本展が初公開となる「獅子虎図屏風」は、一気に描かれた体躯と対照的に慎重に描かれた頭部が油彩の筆触を感じさせる西洋の影響を見てとれます。2017年に発見された天鵞絨(てんがじゅう)友禅のタペストリー「嵐」の原画である「猛鷲図」も初公開されます。
 「第2章 壮年のころ−洗練の色彩、緻密な彩色」では、東京画壇の菱田春草らの刺激も受けて画風を模索して生まれた「観月」、100年以上所在不明だった代表作の一つ「かりくら」が初公開され、注目です。
 「第3章 暮年のころ−動物を見つめ、自身を見つめ」では、画壇から距離を置き、文人画風の観念的表現が見られるようになります。「雪後」の狸など、動物の表情の思慮深い趣が見て取れます。「角とぐ鹿」は、近年発見された大下絵も展示され、写生から試行を重ねて構成していく過程が分かり、必見です。
 パート2では、15代住友吉左衞門(春翠)が大正時代に造営した本邸の大広間を飾るために制作された「四季連作屏風」を公開するとともに、深田直城「海辺群鶴之図」や望月玉渓「白孔雀図」など、同時代に花鳥画を得意とした画家たちの作品も紹介。飾りとしての絵画の楽しみ方を展観します。

  1. 木島櫻谷 「獅子虎図屏風」(右隻) 明治37年(1904) 個人蔵(PartⅠのみ)
    木島櫻谷 「獅子虎図屏風」(右隻) 明治37年(1904) 個人蔵(PartⅠのみ)
  2. 木島櫻谷 「寒月」 大正元年(1912) 京都市美術館蔵
    木島櫻谷 「寒月」 大正元年(1912) 京都市美術館蔵(PartⅠのみ)
  3. 木島櫻谷「柳桜図」 大正 6 年(1917) 泉屋博古館分館(PartⅡのみ)
    木島櫻谷「柳桜図」 大正 6 年(1917) 泉屋博古館分館(PartⅡのみ)
  4. 望月玉溪「夏冬之図」	 明治43年(1910) 泉屋博古館分館(PartⅡのみ)
    望月玉溪「夏冬之図」 明治43年(1910) 泉屋博古館分館(PartⅡのみ)

開催概要

展覧会名 生誕140年記念特別展 木島櫻谷
PartⅠ 近代動物画の冒険
PartⅡ 木島櫻谷の「四季連作屏風」+近代花鳥図屏風尽し
会期 PartⅠ: 2018年2月24日(土) 〜 4月8日(日)
PartⅡ: 2018年4月14日(土) 〜 5月6日(日)
休館日 月曜日(ただし4月30日は開館)、5月1日(火)
時間 10:00〜17:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 泉屋博古館分館
港区六本木1-5-1 
>> 会場の紹介記事はこちら
入館料 一般 800円、高大生 600円
公式サイト https://sen-oku.or.jp/tokyo/
問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)

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