卓越した彫琢が特徴! ガレも魅了されたその美しさに迫る
紀元前5〜前3世紀に起源をもつ中国のガラス。貴石や玉の代用品として扱われてきましたが、清の時代に皇帝のための工芸品として発展します。清朝ガラスの美しさをイギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館のコレクションを交えて紹介する企画展です。
「透明性」や「はかなさ」というガラスが持つ特性を生かした工芸品が多い中、清朝のガラスは「透明」と「不透明」の中間にあり、重厚な彫りが特徴。壊れやすさを好まない中国の伝統的な造形感覚が独自の特色を生み出しました。
1696年、第4代康熙帝(在位1661〜1722)が紫禁城内にガラス工房 玻璃廠(はりしょう)を設置。第5代雍正帝(在位1722〜35)、第6代乾隆帝(1735〜96)と代々引き継がれ、アヘン戦争の前まで200年以上に渡って続きます。乾隆帝の時代には最盛期を迎え、色被せガラス、マーブル・グラス、エナメル彩色など多彩な種類が生まれました。
「プロローグ:中国ガラスの始原」では、古代中国の儀式関連の道具や装飾品、副葬品を展観しながら、貴石や玉の代用品として生まれたガラス製造の起源を追います。「1章:皇帝のガラスの萌芽」では、第4代康熙帝によってガラス工房が築かれてヨーロッパの宣教師が技術指導を行い、第5代雍正帝が発展させて吹きガラスを中心とした力強いフォルムの色ガラスが生まれ、「第2章 清王朝の栄華」で、第6代乾隆帝がヨーロッパの知識を積極的に取り入れ、不透明ガラスやアベンチュリン・グラスなど、豊富なバリエーションを生み出した流れを追います。
「第3章 エミール・ガレと清朝のガラス」では、19世紀後半に活躍したエミール・ガレと清朝ガラスとの関わりについて掘り下げ、同時代の清朝のガラス器や鼻煙壺(びえんこ・嗅ぎたばこを入れる器)、中国の工芸品、ガレの作品を一堂に並べてその影響関係を垣間見ます。最後の「エピローグ:清朝ガラスの小宇宙(ミクロコスモス)」では、17世紀後半に中国に伝来し、清朝の宮廷内で大流行した後に、一般社会にも普及した鼻煙壺を紹介。手のひらサイズながら清朝工芸の技と粋が凝縮された作品から、当時の栄華を振り返ります。
春秋時代末期から戦国時代の間を起源とする中国ガラスの起源にも触れながら、清朝ガラスの誕生から末期までを包括的に展観でき、その魅力に触れられます。
展覧会名 | ガレも愛した−清朝皇帝のガラス |
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会期 | 2018年4月25日(水) 〜 7月1日(日) ※会期中、展示替えを行う場合があります |
休館日 | 火曜日(ただし5月1日、6月26日は開館) |
時間 | 10:00〜18:00 ※金・土および4月29日(日・祝)、5月2日(水)、3日(木)は20:00まで ※5月26日(土)は六本木アートナイトのため24:00まで開館 ※いずれも入館は各閉館時間の30分前まで |
会場 | サントリー美術館 港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,300円、高大生 1,000円、中学生以下無料 |
公式サイト | https://www.suntory.co.jp/sma/ |
問合せ | 03-3479-8600 |
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