真言密教の名刹に伝わる密教美術の宝物
京都の山科にある真言宗醍醐派の総本山「醍醐寺」。本格的な密教美術や各時代の為政者の文書など、普段は非公開の寺宝を展観しながら、同寺の1100年の歴史を辿る企画展です。2016年に中国の上海、西安で開催された展覧会を記念して開かれます。
天智天皇の流れをくむ聖宝(832〜909)は東大寺で仏教の諸宗を学び、874(貞観16)年、醍醐味の水が湧くという笠取山に草庵を結んで准胝(じゅんでい)・如意輪の両観音菩薩像を安置。醍醐寺を開きました。加持祈祷や修法(すほう)などで当時の朝廷や貴族から信仰を集め、開創から数十年で大規模な寺へと発展していきます。足利尊氏を支えた賢俊(けんしゅん)、足利義満など3人の将軍から信任された満済(まんさい)、豊臣秀吉から手厚い保護を受けた義演(ぎえん)など、歴代座主は時の為政者と深く関わりました。
本展では、後世に伝えられてきた約15万点の寺宝から、仏像、絵画、書跡、工芸など、約120件が展示されます。「第1章 聖宝、醍醐寺を開く」では、聖宝の肖像や伝記、国宝「薬師如来坐像」(平安時代)や重要文化財「如意輪観音坐像」(平安時代)など、草創期の名品が紹介されます。「第2章 真言密教を学び、修する」では、重要文化財「五大明王像」などの仏像、国宝「文殊渡海図」や国宝「五大尊像」(鎌倉時代)などの仏画を中心に展示。図像の研究や設計図として描かれた、料紙に墨線のみで描いた白描図も並びます。「第3章 法脈を伝える−権力との結びつき−」では、時代を経るごとに寺内で形成された法流に着目。それを創り上げた祖師像や、師から弟子へと伝える際に使われた諸尊の修法の編集記録、足利尊氏筆「理趣経」(南北朝時代)などを展示します。「第4章 義演、醍醐寺を再びおこす」では、第80代座主の義演(1558〜1626)が豊臣秀吉などからの保護を受けて、荒廃した伽藍の復興を行い、有名な“醍醐の花見”の舞台となっていく時代の華やかな襖絵や絵画などを紹介します。
密教の世界観を表す重厚な美術から、桃山時代の華やかな近世美術まで幅広い寺宝が展観できる貴重な機会となります。
展覧会名 | 京都・醍醐寺−真言密教の宇宙− |
---|---|
会期 | 2018年9月19日(水) 〜 11月11日(日) ※会期中、展示替えあり |
休館日 | 火曜日(ただし11月6日は開館) |
時間 | 10:00〜18:00 ※金・土および9月23日(日・祝)、10月7日(日)は20:00まで ※入館は各閉館時間の30分前まで |
会場 | サントリー美術館 港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,500円、高大生 1,000円、中学生以下無料 |
公式サイト | http://suntory.jp/SMA/ |
問合せ | 03-3479-8600 |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。