「さすが!北斎、やるな!!国芳」−浮世絵のマテリアリティ

慶應義塾ミュージアム・コモンズ(三田2-15-45 慶應義塾大学三田キャンパス東別館)

  • 2023/5/19(金)
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「さすが!北斎、やるな!!国芳」−浮世絵のマテリアリティ

 慶應義塾が所蔵する高橋誠一郎浮世絵コレクションから、幕末の同時代に生きた好敵手、葛飾北斎と歌川国芳の魅力を再発見する企画展が入場料無料で7月15日(土)まで開催されている。

 超現実的でユニークな造形世界を表現した北斎。本展前期は「グレート・ウェーヴ」として知られる《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》、後期は「赤富士」で知られる《冨嶽三十六景 凱風快晴》という世界的な名画を贅沢に間近で鑑賞することができる。一方、物語絵や風景画に当時の世相を巧みに取り入れ、江戸時代の人々の心を鷲掴みにした国芳。勇壮な武者絵の大判錦絵や髪の生え際の超絶技巧が光る美人画などが堪能できる。同展示室では、同じ題材で両者の作品が見比べられるコーナーにも注目したい。
 いずれの作品も「本当に江戸時代のものか?!」と疑うほどの発色や保存状態の良さに驚く。作品保護のためかなり照明が落とされているが、それがゆえに藍色の深みや繊細なグラデーションの背景などが際立たって見える。

 あわせて海外から里帰りし、初公開される下絵群(デッサン類)も必見だ。このまま作品になるほどの繊細で完成度が高いもの、修正の貼り紙がついているもの…中には北斎や国芳本人と推定される貴重な下絵もあり、絵師自らの生の筆遣いや試行錯誤の過程を目の当たりにすることで、浮世絵版画の完成美をも再発見することができる。

 同館専任講師の本間友氏は「一つひとつの作品そのものに目を向けてもらいたいとの思いからタイトルに『マテリアリティ』という言葉を入れました。本展では、1億画素の高精細カメラでデジタル化した、肉眼では捉えきれないような展示作品の質感などが分かる動画も公開しています。ぜひ、理屈抜きにその超絶技巧や表現を楽しんでください」と話す。

【会期】前期:5月15日(月)〜6月13日(火)、後期: 6月15日(木)〜7月15日(土)
【休館日】土曜、日曜 ※6月17日(土)、7月15日(土)は特別開館、6月14日(水)、7月3日(月)は臨時休館
【開館時間】11:00〜18:00 ※入場無料

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