メイシャ・モハメディ「yesterday I was a tiny tube of toothpaste」

Pace ギャラリー(麻布台ヒルズ)

  • 2024/9/6(金)
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メイシャ・モハメディ「yesterday I was a tiny tube of toothpaste」

 世界各国に拠点を持つメガギャラリーの一つ「Pace ギャラリー」が、日本初となるスペースを麻布台ヒルズにオープン。それを記念し、アメリカ人アーテイスト、メイシャ・モハメディの日本初となる個展「yesterday I was a tiny tube of toothpaste」が開催中。

 モハメディは独学で絵画を学び、画家として活動する前は神経学者としての訓練を受けていたという経歴の持ち主。
現在はロサンゼルスを拠点に制作活動を続け、普遍的な思想や経験についての自身の考えが反映された、空気感のある抽象画で知られており、その作品はニューヨークのメトロポリタン美術館、ロサンゼルス群立美術館、マイアミ現代美術館(ICA)に所蔵されている。

 モハメディにとって日本およびアジアで初となる本展では、2023年〜2024年に制作された未発表の絵画に焦点が当てられている。これらの作品は、約20年前にモハメディが短期間ではあるが日本に滞在、働いていた頃に書かれた日記に触発されたもので、作品名の半数はそこに記された人や訪れた場所からつけられている。
 この一連の制作において、自身が20代だった頃の精神空間に立ち戻り活性化することで、海外での自己形成期と現在の生活における偶然や幸運な巡りあわせを織り交ぜている。

 モハメディの作品に向かい合うと、軽やかでカラフルな色使いと、所々繰り返されるモチーフが楽しい気分にさせてくれる。彼女の「日常生活や人間関係から生まれる物語や場面を抽象化してつなぎあわせるパッチワーク的な」制作手法によるものであろうか。この作品は日本でのどのような出会いや経験によるものだろう、と考えながら観るのも面白い。
 そのヒントになるのが、本展の開催に合わせ出版される、展示作品の制作ノートともいうべきモハメディのスケッチブックの復刻版だ。彼女がどのような写真などに作品のヒントを得たのか、見比べると意外な発見がある。ブライアン・ディロンによる書き下ろしの論考が掲載されているので、より深く作品を楽しめる。

 日本のアート界を牽引する存在となるPace ギャラリーから、これからも目が離せない。

【会期】9月6日(金)〜10月16日(水)
【休廊日】月曜
【開廊時間】11:00〜20:00

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