サントリー美術館
江戸時代中期の絵師、英一蝶(はなぶさいっちょう・1652〜1724)の没後300年を記念する、過去最大規模の回顧展が開催中。
一蝶は元禄年間(1688〜1704)前後に、江戸を中心に活躍。はじめは狩野探幽の弟・安信のもとで狩野派の本格的な画法を習得するが、菱川師宣や岩佐又兵衛らに触発され市井の人々を活写した独自の風俗画を生み出し、一蝶の画風を慕う弟子たちにより英派(はなぶさは)と呼ばれる一派が形成された。
また、松尾芭蕉に学び俳諧をたしなむなど、幅広いジャンルで才能を発揮している。
三宅島へ流罪になるという異色の経歴を持つ一蝶は、その波乱万丈な生涯も人気に拍車をかけることとなった。宝永6年(1709)に将軍代替わりの恩赦によって江戸へ戻ったが、島で描かれた作品は〈島一蝶(しまいっちょう)〉と呼ばれ、 特に高く評価されている。
本展では、ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されており、一蝶を代表する3点の作品や、御蔵島の稲根神社に伝わり島外で初めて公開される《神馬図額(しんめずがく)》など、これまで見ることのできなかった作品が並ぶほか、俳諧の分野での活動も紹介し、そのマルチな才能にも焦点を当てている。
瑞々しい初期作、配流時代の貴重な〈島一蝶〉、江戸再帰後の晩年作など、国内外の優品を通して、風流才子・英一蝶の画業と魅力あふれる人物像に迫る本展。一蝶の温かく、ユーモアあふれる視点と、絵の中の人物の息吹さえも感じられる表現力、バラエティに富んだ技法とその移り変わりをぜひ味わってほしい。
【会期】9月18日(水)〜11月10日(日) ※会期中展示替えあり
【休館日】火曜(11月5日は18:00まで開館)
【時間】10:00〜18:00 (金曜、11月9日は20:00まで 9月27日(金)、28日(土)は六本木アートナイトのため22:00 まで開館) ※入館は閉館の30分前まで
【画像】「没後300年記念 英一蝶 ―風流才子、浮き世を写す―」展示風景
左:雑画帖のうち「牡丹図」 右:「牧牛図」英一蝶 一帖のうち二面 大倉集古館【本場面の展示期間:9月18日〜10月14日】
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。