国立新美術館 展示室3B
日本各地に眠る“デザインの宝物”を掘り起こし、8人のクリエイターが独自の視点で再解釈・展示するというユニークな試みの展覧会が開催中。
「DESIGN MUSEUM JAPAN」は、第一線で活躍するクリエーターたちが、日本全国のさまざまな〈デザイン〉を現場でリサーチし、発掘していこうというNHKの番組と連動したプロジェクトで、その成果を展覧会やトークショーなどへと展開してきた。
クリエイターたちが触発された日本中の“デザインの宝物”をつないでいけば、日本全体がひとつの大きな〈デザインミュージアム〉だととらえられるのではないか、〈デザイン〉は、実はわたしたちのまわりにあふれていて、日々の暮らしに豊かさや活力を与えていることに気づいてほしいと願い、展開するものだ。
国内外で展開された活動の中で、国立新美術館では2022年、24年に続く開催となる本展のプレス内覧会では、4名のクリエイターと、監修・デザインに携わった3名が企画説明のために登壇。
現代美術家の宮永愛子氏は、京都府で「ヒラギノフォント」明朝体の基となった文字を、インテリアデザイナーの五十嵐久枝氏は、大阪のガラス職人の情熱が生み出した特産品「魔法瓶」を、プロダクトデザイナーの深澤直人氏は、島根県の「石州瓦」を、デザイナーの宮前義之氏は、高知県で300年続く「街路市」をリサーチした模様について語った。
会場では、クリエイター達が探した“デザインの宝物”ごとの展示コーナーが設けられ、それぞれにボックスが5つほど並んでおり、メインとなるリサーチ結果のほか、リサーチ対象の歴史やその土地での背景、ドキュメンタリー映像、未来にむかってどのように発展・広がっていくかという、包括的で分かりやすい展示となっている。
例えば鳥取県の「大漁旗」は、会場でもひときわ目を引く実物の展示のほか、どのような想いで作られてきたのかという歴史と、現在ではどのように使われているのかの解説、つくり方の紹介、制作時に使われる刷毛などの道具が展示されており、一つひとつじっくり見ていると時間があっという間に過ぎていく。
中には高知県の「街路市」や、宮崎県の「スナック」など、『どのように表現するのだろう』と思うようなものでも、展示監修や会場デザインの力で見事に表現されている。
パッと見たビジュアルだけでもわかりやすく、それぞれの解説を読むとさらに理解が深まる展示は、大人から子どもまで楽しめる形となっており、無料で鑑賞できることも嬉しい。
また、開催にあわせたトークセッションも行われる。こちらも無料・先着順となるので、早めに「DESIGN MUSEUM JAPAN」のウェブサイトをチェックしよう。
そのほか、本プロジェクトの過去に展示されたものを含め、計27名のクリエイターが集めた“デザインの宝物”の情報をまとめたカードが配布物として設置されており、好きなものを持ち帰ることができるので、ぜひあわせて楽しみたい。
【会期】2025年5月15日(木)〜25日(日)
【時間】10:00〜18:00(金曜は20:00まで)
【休館日】5月20日(火)
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