六本木ヒルズ A/Dギャラリー
禅語である『日日是好日』をテーマとし、日常の豊かさを描いている画家、志賀龍太の個展が開催中。
愛らしい志賀の作品は海外でも人気が高く、台湾、中国、韓国、タイ、NYなどでも展覧会が開催されている。
本展のタイトルでもある「日日是好日」は、これまで開催された志賀の他の展覧会でも使われてきている。映画のタイトルから、「僕の人生のテーマはこれだな」とインスピレーションを得たそうだ。
「2年前ぐらいから『日日是好日』はずっと変わらず、その後にサブタイトルのように他の言葉を入れています。僕は絵を描けばその日が幸せになるので、展覧会の有無に関わらず毎日絵を描いています。今日楽しかったな、と思える毎日を積み重ねればずっと幸せが続くと思っています」。
『毎日積み上げていたものを皆さまに観ていただいている』という志賀の個展会場には、包まれるような温かさと愛あふれる作品が52点並ぶ。
多くの絵に可愛い女の子が登場するので、モデルはいるのかと尋ねると、「絵の中の女の子は僕の妻を描いており、男の子は僕で、僕と妻の日常生活を題材として描いています」。
絵の世界は可愛らしく、少しファンタジックな雰囲気が漂っているが、実際にその日にあった思い出がベースとなっているそうだ。
「この絵のグレーのフーディーは実際に妻が着ているものですし、よく登場するクマのぬいぐるみも家にあるものです。ちょっと変えているものもありますが、ほとんどの作品が日常を少しデフォルメして描いています」。
タイトルの《手をつないでくれないと歩かない》など、『実際に言われた言葉かな』と絵の世界と比べながら観ると、とても微笑ましく温かい気持ちになる。
「絵を観てタイトルが浮かぶぐらいの分かりやすい絵といいますか、『ああ、わかるわかる』と思ってもらえるようなものを描きたいと思っています」。
これだけたくさんの作品に登場することに愛情を感じるが、志賀の妻はどのように思っているのだろうか。
「初めの頃は『恥ずかしい』と言っていました。今回展示していないのですが、人を描かない絵もあるのですよ。最近は絵の中に登場させないと、『今日は私、いないんだ…』と言われますね」。
志賀が絵を描き始めたころは、抽象画からはじまり写実的な絵を描く時期を経て、4年ほど前から少しずつ自然に画風が変化し、今の形になったという。聞くと結婚して少し経った時期と重なるので、日々の幸せをかみしめ、気持ちが穏やかになったことも影響しているのだろうと納得した。
全体的にニュアンスのある色使いが特徴的だが、使う色にこだわりや工夫はあるのだろうか。
「日常にある昼間の太陽や夕日、夜の色など、自然にある色を用いて描いています。こだわりというより、その日その時に感じた気持ちを表す色をのせ、自分が心地よいなと思う色になるまで繰り返します。以前はきらびやかな光沢のある色も使っていた時期もありますが、日常を表す色はマットな色がしっくりきますね」。
最後に、毎日が幸せだと絵から伝わってくることを伝えると「はい、幸せです」ときっぱりと答える志賀を見て、こちらも幸せな気持ちになった。
ぜひ、会場で優しい気持ちになれる絵で癒され、温かい気持ちを持ち帰ってほしい。
【会期】7月18日(金)〜8月3日(日)※会期中無休
【時間】12:00〜20:00
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