「もてなす美—能と茶のつどい」

泉屋博古館東京(六本木1-5-1)

  • 2025/11/21(金)
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「もてなす美—能と茶のつどい」

 住友家歴代の当主たちが教養としてたしなみ、もてなしの席で用いられてきた能と茶に焦点をあて、貴重なコレクションとともに紹介する展覧会が開催中。

 本展では能を好み、住友家に伝わる能関係の諸道具の多くを収集した15代当主、住友吉左衞門友純(号・春翠)と、そのコレクションの形成に大きく寄与した能楽師、大西亮太郎(1866〜1931年)にまつわる品を中心に、約100点に及ぶコレクションの能装束の中から、選りすぐりのものを紹介。
また、能の師であるばかりでなく茶の湯の友でもあった大西が参加した茶会で使われた道具も展開されている。

 展示室1では、ほぼ20年ぶりの公開となる住友コレクションの能装束がずらりと並び、圧巻の眺めだ。
能装束は煌びやかな装束のイメージだが、鑑賞用としてではなく、実際に演能で使用されるために集められたものが多い住友コレクションの能装束は、華やかさだけでなく実用性も重視されている。
実際に使用した痕跡が残る作品もあり、住友家当主のもてなしの心を映し出している。また、展示室では写真つきで能装束の『語句解説』も掲示されているので、能に詳しくない人も安心して楽しむことができる。

 続く展示室2では、装束だけではなく能面をはじめ、笛や小鼓、太鼓などの能にまつわる諸道具を観ることができる。
自ら装束を身に着け仕舞を披露することもあったという春翠が、「杜若」のキリを舞った際に着用した長絹と共通する特徴を示す《紫地鉄線唐草模様長絹》や、髭など細部までじっくりと見ておきたい《妙作尉》などの能面、摩り減りやすい小鼓胴のなかにあって、17世紀頃に制作された当時の姿をとどめる《香包蒔絵小鼓胴》など、見どころが豊富。また、これらのコレクションにも、大西の助力があった。

 展示室3では、茶の湯の友としての春翠と大西の交流がうかがえる展示となっている。
住友家では、茶の湯をもてなしの一環として取り入れていたが、残された茶会記から春翠が開いた茶会に大西が参加していたことがわかっている。この章では、大西が参加した茶会で用いられた茶道具が紹介されている。
 江戸時代初期の大名茶人・小堀遠州伝来の茶入れや、江戸時代後期の蒔絵師・原羊遊斎の《椿蒔絵棗》など、見ごたえのある展示となっており、春翠が開催した三回の茶会で使用された道具類一覧の表も掲示されているので、あわせて観ると良いだろう。

【会期】11月22日(土)〜12月21日(日)
【休館日】月曜日
【時間】11:00〜18:00(金は19:00まで)※入場は閉館の30分前まで

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