六本木ヒルズ A/Dギャラリー

一見するとポップな描写が印象的な作品を手がける前田敏幸。主にアクリルを用いて絵画を制作し、これまで「生」と「死」、「過去」と「現在」といった相反するもののあいだにある矛盾や葛藤を見つめてきた。その背景には、幼少期に体験した「死」への強烈なトラウマがあり、人が直視しにくい問題もコミカルな表現を通じて受け止め、昇華すべく表現を続けている。
本展では、これまで向き合ってきた「死」や「矛盾」から少し離れ、「今ある毎日」をテーマにした新作を発表。朝起きて、歯を磨き、絵を描き、仕事をして、電車に揺られ、家族で食事をして、眠る。そんな日々は、いつか終わることを知っていながらも、何気なく繰り返すうちに、いつの間にかありふれたものになっていく。そして、今感じている日常の尊ささえ、やがて忘れてしまうかもしれない。
近年は、身近な存在の不幸や自身の子供の誕生をきっかけに、「生」や「今」にも目を向け、表現の幅を広げてきた前田。今回の新作は、できるだけ当たり前に過ぎていく日々のなかにあるものを見つめ、形にして残すことを考え制作したとのこと。何気なく過ごしている一日を改めて見つめることで、今という時間のかけがえのなさに気づかせてくれる作品の数々に注目したい。
【会期】10月2日(金)〜10月18日(日)※会期中無休
【時間】12:00〜20:00
【画像】前田敏幸《朝起きて、いつか眠る》2026年 アクリル絵具、キャンバス 130.3×130.3×2cm
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