「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」プレス内覧会

国立新美術館

  • 2023/6/28(水)
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「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」プレス内覧会

 国際的に大きな注目を集めてきた中国出身の現代美術家、蔡國強(ツァイ・グオチャン/さい・こっきょう、1957年生)による国内最大規模の個展が国立新美術館とサンローランの共催により開催される。

 蔡は東洋哲学や社会問題を作品の基本コンセプトとし、火薬絵画、インスタレーションや屋外爆発プロジェクトなどで評価されてきた。世界を舞台に活躍する創作活動と思考の礎となっているのが、1986年末から約9年間、美術家として成長する重要な時期を過ごした日本での経験や出会いだったと言う。

 プレスカンファレンスでは、蔡自身により若き日の日本での思い出などが語られた。在日当初、妻とともに過ごした板橋区。四畳一間のアパートの小さな台所で子ども用の花火などを使って、火薬ドローイングを始めたことが蔡のライフワークである火薬作品のきっかけとなった。狭いながらも大きい宇宙との近さを一番に感じられた時代。今でもあの頃の精神を持っているか、もう一度最初の気持ちを取り戻したいとの思いが日本で開催する本展に込められていると語る。

 柱も壁もない2000平方メートルの広場のように悠々とした企画展示室1Eでは、一方には、蔡が30年前に発表した、歴史的なインスタレーション〈原初火球〉が再現。隣り合ったもうひとつの核には、LEDを使った大規模なキネティック・ライト・インスタレーション《未知との遭遇》が設置され、観客は「宇宙のジャングル」を表した作品の中を自由に歩きながら体感することができる。そして所々に、四畳一間のアパートで制作された若き日の作品をはじめ、多数の貴重なアーカイブ資料や記録映像が展示されている。
 展示室全体がまるでひとつのインスタレーションのようであり、蔡の過去、現在、未来がそれぞれゆるやかに干渉する空間が広がる。

 混沌とし大変で複雑な現代こそ、大きなスケールで俯瞰する「宇宙からの視点」が重要だと語る蔡。本展は私たちにその大切さを気づかせてくれるような蔡の壮大な世界観と思いがあふれている。

 写真は蔡國強氏(右)と本展を企画した国立新美術館長の逢坂恵理子氏(左)

【会期】6月29日(木)〜8月21日(月)
【休館日】火曜
【時間】10:00〜18:00(金・土曜は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで

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