菅 木志雄「ものでもなく場でもなく」

小山登美夫ギャラリー(六本木6-5-24 complex665 2F)

  • 2023/6/30(金)
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菅 木志雄「ものでもなく場でもなく」

 「もの派」の主要メンバーとして活動後、50年以上も第一線で活躍し、現代アートにおける独自の地平を切り開いてきた菅木志雄(すが・きしお)。小山登美夫ギャラリーでは11回目となる、全て新作による個展が開催されている。

 菅木志雄(1944年〜)は、戦後日本美術を代表するアーティストの一人として、すでに国際的な評価を確立しており、今までに400を超える国内外の展覧会に参加。作品はポンピドゥ・センター、テート・モダン、ニューヨーク近代美術館ほか、国内外40以上の美術館に収蔵されている。

 菅は活動初期からその個々に散在する「もの」の存在が連なり、全体が生まれるということを常に意識してきたという。「すべては分断できない。あらゆるものは存在することによって、それぞれの位置を得ている」という感覚を、作品に反映している。
 本展のキービジュアルでもある新作《渡縁柱》では、白い板に多くの小さい木片が点々と配置されている。その2点の木片の上に青い細長い角材が渡り、さまざまな2点が選びとられていることで、そこに渡る角材が斜めに複雑に交差し、不安定なような、それでいて美しい、不思議な光景が現れている。

 「規則的に並べた中に一つだけ外れた部分があったり、木片が複雑な影を創り出していたり、実際に鑑賞しなければ分からない繊細な表現と空気感を味わってもらいたいです」と語るのは本ギャラリーのアシュリー・キュー氏。

 多摩美術大学学長の建畠晢氏は、菅作品を「そこに見えていないものとの関係によって感知されるハーモニー」と称している。世界はもっと果てしないが、見えない繋がりを認識しないと世界は見えない。菅作品は、私たちの狭まった知覚に新たな気づきを与え、アートを通じて豊かに世界とどう向き合っていくかを指し示しているようだ。

【会期】6月24日(土)〜7月22日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】11:00〜19:00

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