人見 元基|イドの森で

GALLERY MoMo Projects(六本木6-2-6 サンビル第3・2F)

  • 2023/7/4(火)
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人見 元基|イドの森で

 GALLERY MoMo Projects(六本木)では、擬人化された動物彫刻作品を制作する木彫作家として活動する傍ら根付作家としての顔を持つ、人見元基(ひとみもとき)の6回目の個展が開催されている。

 日本郵便とのコラボレーションで制作した《ぽすくまのポスト》(2021年)や、実家で飼う犬の表情を豊かに刻んだ木彫など、愛らしく精巧な作品でも知られる人見。2010年「野外美術展どうぶつの森」(うつのみや文化の森)、2011年「あにま展」(島根県立美術館)など、国内のさまざまな展示に招待参加してきた。

 それらが外に開いた陽の表情を表現する一方、本展では、人間の内面の深淵な部分まで掘り下げた内容となっている。精神分析における本能的な欲求や衝動的な部分をつかさどる「イド」という無意識の領域をテーマに、「イドの森」という舞台を設定して物語にし、思春期を迎えて社会とエゴの間でさまよう人間の、子どもから大人への成長過程の葛藤を、一つの丸太から彫り出す木彫作品で表現。そして個々の作品をつなぐ物語がデッサン作品で表現されている。

 「水木しげる先生の関係の仕事を手伝った経験から、目に見えないものを形にしたいとの思いが根底にあります。木彫制作においては、木の持つ温かみと生命感を活かしながら多彩な色彩を施す技法から作り出す、彫跡のマチエール(質感)で、髪や肌の繊細な表現にこだわっています」と語る人見氏(写真)。その手から生み出される少年少女たちの繊細さや危うさが私たちの心を惹きつける。

 人間の成長過程や内面の探求を通じて、それぞれの作品が人々の営みから生まれた象徴のような作品を作り出そうとする人見の試みは、鑑賞者にも心に響くメッセージを届け、さまざまな共感を与えるだろう。

【会期】7月1日(火)〜7月29日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】12:00〜19:00

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