麻布台ヒルズ ギャラリー
「モビール」の発明で最もよく知られる、アメリカのモダンアートを代表する彫刻家、アレクサンダー・カルダー(1898〜1976年)。東京では約35年ぶり、日本では最大規模の個展が開催されている。
本展はカルダー財団が所蔵する1920〜1970年代までの作品約100点で構成。代表作のモビール、スタンディング・モビールや静止した抽象的な作品のスタビル、油彩画、ドローイングなど、幅広い作品が展観され、一つひとつの作品の繊細なバランスと会場構成が絶妙な調和で私たちをその世界に惹き込む。
会場デザインは、カルダー財団の長年の協力者でもある建築家、後藤ステファニー氏によるもの。3:4:5の直角三角形の幾何学にもとづいた設計に、茶室や能舞台を想起させる正方形の展示室や、赤土の土壁、墨色の和紙を設えた空間など、日本建築の要素や素材がエレガントかつモダンに取り入れられている。
本展のテーマ「カルダーの芸術作品における、日本の伝統や美意識との永続的な共鳴」を体現し惹きたてる構成となっている。
会場には、約90年ぶりに展示される立体作品《Arc V,c.》から、愛らしい動物のポーズを表現した素描の作品群、運送用の木箱の中にあった合板に描かれた油絵、そしてジョン・ケージが作曲に関わった映像作品も上映されている。
鑑賞する順番やルートも特に定められていない、タイトルも付けられていない作品も多く、自由に鑑賞できる。作品保護の目的で、携帯電話以外の荷物は持ち込むことができないが、併設のロッカーに預け、身軽な状態で心地よいモビールの揺れに身をゆだねながらゆっくりと鑑賞したい。
【会期】5月30日(木)〜9月6日(金)
【休館日】6月4日(火)、7月2日(火)、8月6日(火)
【時間】10:00〜18:00 ※金・土曜日・祝前日は19:00まで、入館は各閉館時間の30分前まで
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