慶應義塾ミュージアム・コモンズ(三田2-15-45 慶應義塾大学三田キャンパス東別館)
環境に呼応する開かれたシステムを提示し、音、泡、放射線、虹、微生物、苔、気流、土、水そして電子といった物質や現象を、インスタレーションなど「芸術」への読みかえを行う三原聡一郎(1980年〜)。その制作活動を一望するとともに、作品の根幹を「レシピ」としてアーカイヴ化していく試みを紹介する現代アート展が開催中。
三原は近年、これまでの活動を「空気の芸術」として、振動、粒子、呼吸というカテゴリーに分類。「レシピ」の形式にまとめる作業を進めている。
写真は展示フロア ルーム1のようす。自然界にある放射線を感知すると風鈴が鳴る《 鈴》、空気中に存在する水分が水滴となって苔玉に落ちていく《無主物》などの作品が展示されている。来場者が興味深く観ているのは、それらの制作方法やプロセスなどが描かれた「レシピ」だ。作品とレシピを同時に示すことで、作品と記述のあり方、想像力を他者と共有する試み、作家の生前意思、再制作・再展示といった問題への三原の関心と実践に光を当てているのだという。
ルーム2では、新作の《粉を挽く》を展観。ガラスや砂、さまざまな金属を自動で挽き、粉砕するための装置を鑑賞できる。それにより作られた木目細かな粉は、顔料として「レシピ」の印刷に使われている。
担当学芸員の長谷川紫穂氏は「三原氏は、人間が捉えられないような自然の現象や、そこにあるかすかなゆらぎなどを作品化することで、私たちの目の前に静かにその仕組みを提示してくれます。時間の経過や展示室の環境などによって作品が変化していくので、その時々のようすを自由に楽しんでもらえればと思います」と話す。
【会期】6月3日(月)〜8月3日(土)※入場無料
【休館日】土日祝 ※6月22日(土)、8月3日(土)は特別開館、6月24日(月)、7月29日(月)は臨時休館
【開館時間】11:00〜18:00
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