森美術館
六本木ヒルズのシンボルとも言える巨大な蜘蛛のパブリックアート「ママン」の作者、ルイーズ・ブルジョワ(1911〜2010年)の日本で27年ぶりとなる個展「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」が開催。
国内でブルジョワの作品を所蔵しているところは少なく、前回日本の美術館で開催した個展は1997年の開催なので、「日本での大規模な個展は少なく、特に30歳以下の方々には見る機会がなかったのではないかと思う」と語るのは、森美術館館長の片岡真実氏。
本展では、出品作品の8割以上が1998年以降に制作された日本初公開の作品で構成されている。また、近年世界的に注目されている初期絵画作品もまとめて観ることができる。ブルジョワの作品を観たことがある人も、初めて出会う人も、これまでにないブルジョワの作品に出合うことができる、またとない機会だ。
展示の構成は3章に分かれており、「私を見捨てないで」では母との関係を、「地獄から帰ってきたところ」では父との確執、そして「青空の修復」では家族の関係性の修復と心の解放が主なテーマとなっている。
会場では過激な表現の作品もあり、ブルジョワの生い立ちに想いを馳せながら観ると胸が締めつけられることもある。だが、自らを逆境を生き抜いた「サバイバー」であると考えていたブルジョワが、「芸術は正気を保証する」と創作を通して負の感情から自身を解放していった様を観ると、安堵を感じると同時に力が湧いてくる。
本展の副題「地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」は、ハンカチに刺繍で言葉を綴った晩年の作品からの引用だが、この言葉のように、逆境を軽やかに乗り越える気持ちを持ちたいと思わせる展覧会であった。
【会期】2024年9月25日(水)〜2025年1月19日(日)※会期中無休
【時間】10:00〜22:00(火曜は17:00まで)※入場は閉館の30分前まで ※ただし9月27日(金)・28日(土)は23:00まで、10月23日(水)は17:00まで、12月24日(火)、12月31日(火)は22:00まで
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