六本木ヒルズ A/Dギャラリー
日常生活の一瞬を切り取り、さまざまな感情を抱く若者をポップなスタイルで表現するアーティスト、Wataru Kimuraの個展「THE CITY」が開催中。
迷いや苛立ちなどの表情を通して人間の複雑さや奥深さを表現する『LOST BOYS』シリーズは多くの共感を呼び、国内外での個展やアートフェア、企業とのプロジェクトなど、活躍のフィールドは多岐にわたる。
本展では『LOST BOYS』シリーズの若者が生活する架空の街を舞台とした新作を展示。開放的な雰囲気ただよう海辺の街だが、登場人物の表情は相変わらず曇りがある。「複雑な感情や心の浮き沈みはネガティブなものと捉えられますが、私はそこに『生きている証し』といいますか、人間らしさを感じます。」とKimuraは語る。
新しい試みとして今回の作品は背景の輪郭線をなくして描き、淡くやさしい色を使うことで、人物を際立たせているとのことだ。絵の登場人物の表情がより印象的になり、内なる感情が観る側に伝わってくる。また、部屋などの飾る場になじみやすい。
今回から新たなキャラクターとして登場する犬のTimmyもお披露目となり、Timmyにフォーカスした作品も展示されている。
これまでの『LOST BOYS』でも、犬が寄り添う作品が多くみられた。焦りや苛立ち、孤独などを感じる時、登場人物の傍らでいつも変わらず味方になってくれる大切な存在が定番キャラクターになることで、これからの展開が楽しみだ。
Kimuraの個展会場ではインスタレーションで作品の世界観を表すことが多い。本展では、ビーチパラソルとスナックスタンドなどが会場に現れ、作品とリンクしている。
また、絵の舞台となる街のシティーマップが用意され、「地図のこの位置に立つと、あの絵の背景が見える!」と、新たな視点で楽しんだり、スタンプラリーで会場を周りながら絵の中の世界を想像したりと、いつもと違う鑑賞体験ができる。
取材日もギャラリーを訪れた人が「かわいい!」と会場内を撮影する様子が見かけられ、人を楽しませることができるからこそ、Kimuraは多くの人に支持される作品が生み出せるのだな、と納得した。
ぜひ、『LOST BOYS』の暮らす街を廻るしかけを楽しみながら、その世界観を感じてみてほしい。
【会期】10月18日(金)〜11月4日(月)※会期中無休
【時間】12:00〜20:00
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