国立新美術館
2000年代から国際展や美術館でパフォーマンス・アートを発表してきた米国在住のアーティスト、荒川ナッシュ医(あらかわなっしゅ・えい)の、アジア地域においては初となる美術館での個展が開催中。
様々なアーティストと共同作業を続ける荒川ナッシュは、「私」という主体を再定義しながら、アートの不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現している。
本展は一作家の個展でありながら、彼に協力する多数のアーティストによる作品が、2000uの会場内9つのセクションに分かれて「登場」する。
「2013年のユーミンの曲から引用した展覧会タイトルは、わたしにとっての絵画は『みんな決めたミッション』を持っているポップスターであるという意味。今回は、覚悟を決めた、ブレないミュージシャンや、哲学者のみなさまにお願いして、個性的な絵画のために新たな作品を書き下ろしていただきました。」(荒川ナッシュ医コメントより引用)
また、会場ではパフォーマンスが行われたり、松任谷由実、キム・ゴードンなどのミュージシャンの新曲が披露されたりなど、会場は豪華なコラボレーションであふれている。
会場に入ると「絵画と公園」と名付けられた広い空間が広がる。ここでは会期中の日曜に参加型のインスタレーション《メガどうぞご自由にお描きください》が開催され、ふだん作品を観に来る美術館で、作品の中に入って床をキャンバスとして自由に絵を描くという特別な体験ができる。11:00〜12:00には荒川ナッシュによるパフォーマンスが実施されるので、ぜひ一緒にパフォーマンスに参加してみよう。(12月8日のみパフォーマンスの実施なし)
代理出産制度を利用して、12月に双子が生まれる予定の荒川ナッシュは、作品の一つでもある音響設備を搭載した双子用ベビーカーを引きながら、会場でガイドツアーを行った。
育児をしながら制作活動をしているアーティストの作品を紹介する「絵画と子育て」では、代理母による出産予定日までのカウントダウンタイマーもインスタレーションされている。もし本展期間内に出産が早まった場合は、荒川ナッシュはこの会場から去り、アメリカに戻ることとなる。これもアーティストであることと子育てにはジレンマがあるということを表している。
「絵画と音楽」のアンリ・マティスが展示されている空間では、松任谷由実が本展のために制作した新曲で、現在本展の会場でのみ聴くことができる「小鳥曜日」が流れる。
音楽活動においてマティスにインスパイアされている松任谷に、彼女の長年のファンである荒川ナッシュが、マティスに捧げる曲を依頼し実現したものだ。
また、この曲に合わせ、松任谷正隆のアートインスタレーションが空間を演出。「マティスの絵が喋ったら」というテーマで作られた曲を聴きながらマティスの絵画を観ることができる、贅沢なコラボレーションだ。
そのほか、福島県いわき市出身である荒川ナッシュが、兄弟とともに同地で手がけた作品が展開されている「絵画といわき」や、哲学者の千葉雅也が手がけた戯曲を声優・村瀬歩の声で読み上げるLEDインスタレーションが展示される「絵画とバレエ」など、あらゆるテーマに基づく作品が各フィールドで展開されている。
入場無料で誰でも楽しめる本展は、国立新美術館において開館以来初となる、パフォーマンス・アーティストの個展となる。
「国立美術館でパフォーマンスを行うため、どこまで許されるのかを見極めながら展覧会をつくった。」と、荒川ナッシュ氏がコメントする本展の会期中には会場内であらゆるパフォーマンスを観ることができるので、公式ウェブサイトでスケジュールを確認して出かけよう。
【会期】10月30日(水)〜12月16日(月)
【休館日】火曜
【時間】10:00〜18:00(金・土曜は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで
【画像】荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ 国立新美術館 展示風景
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