麻布台ヒルズギャラリー
人間国宝から若手まで、アーティスト20名が工芸の多種多様な素材と技法でポケモンに挑み、ひらめきと悶え(もだえ)と愉しみの中から生まれた作品を展示する展覧会が開催中。
昨年3月に国立工芸館(金沢)でスタートした本展は、ロサンゼルスや日本各地の巡回を経ての東京開催に待ちかねたファンも多いだろう。東京開催では、数名の作家による追加作品の展示があり、作品数は80点とバージョンアップした。
会場入口すぐに4点のポケモンがお出迎え。イーブイとその進化系3体の並びに思わず笑顔になってしまう。「イーブイは純銅の色艶、さらに化学変化を駆使してサンダースには金銀メッキ、ブースターには緋銅という銅の伝統着色を施しました。」という説明文を読んでは作品を観て、と何度も繰り返した。七宝焼を用いた目の表現にも注目してほしい。
また、壁を隔てた所で先に入った見学者が「おお!かっこいい!」と声を上げていた。見ると、《ミュウツー》が、まるで金剛力士像のように立っている。入口の4作品と同じく吉田泰一郎氏が手がけた本展からの新作、全長2メートルにも及ぶ迫力のミュウツーは、影の演出も含めて必見だ。
ポケモンの世界観に工芸が挑戦した、「ものがたり 〜浸る!〜」では、ニードルレースのリボンで構成された《ピカチュウの森》の黄色が会場を明るく楽しげに見せている。触れないように気をつければ、ピカチュウたちの中を歩いて作品を体験できる。
工芸がもつその役割や機能にポケモンが挑戦した「くらし 〜愛でる!〜」では、「これを日常で使うことができれば最高だな」と思う器や着物、装身具が飾られている。一見敷居が高そうな工芸品も、ポケモンとのかがく反応でぐっと親しみのあるものに感じてくる。
工芸品の緻密さ、技術、美しさに「これぞ世界に誇れる」と感じるとともに、子どものようにポケモンの世界を楽しめる展覧会であった。前期・後期で展示替えがあるので、ぜひまたポケモンと工芸との「かがく反応」を観に足を運びたい。
【写真】「ポケモン×工芸展−美とわざの大発見−」展示風景 ©2024 Pokémon. ©1995-2024 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
【会期】2024年11月1日(月)〜2025年2月2日(日)※会期中展示替えあり(前期:11月1日(金)〜12月25日(水)、後期: 2024年12月26日(木)〜2025年2月2日(日))
【休館日】2024年12月31日(火)
【時間】10:00〜19:00 ※金・土曜日・祝前日は20:00まで、入館は各閉館時間の30分前まで
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