森アーツセンターギャラリー
ブルックリン博物館が誇る古代エジプトコレクションから、選りすぐりの名品群が六本木に集結!
世界的に注目されている、米国最大規模の質の高いコレクションを日本で観ることができる、またとないチャンスだ。
本展は、『1st Stage 古代エジプト人の謎を解け!』、『2nd Stage ファラオの実像を解明せよ!』、『Final Stage 死後の世界の門をたたけ!』の三つの章だてで、古代エジプト三千年の謎を掘り起こす。
内覧会では、本展監修のエジプト考古学者・河江肖剰(かわえゆきのり)氏が、「私自身、この展覧会の中で一番楽しみにしていた作品です」という《王の頭部》の展示のコーナーで本展の見どころを語った。
「エジプトと言えば、私も調査しているピラミッドなどのファラオの偉業に焦点が当てられがちですが、本展は古代エジプト人が何を食べていたか、どんなところに寝ていたのか、そういった日常生活にフォーカスしたステージから始まります。最初に古代エジプトの人に親近感を感じていただきつつ、次のステージでファラオの偉業を体感していただきたい。また、二つのステージの間に、私が20年以上に渡って携わってきた、ピラミッドの最新の調査結果などがぐっと凝縮して、一つのコーナーにまとまっています」。
河江氏のドローン技術と3DCGデータ化技術を用いた研究調査と、名古屋大学・准教授の森嶋氏が参加している、宇宙から降り注ぐ素粒子ミューオンを利用しピラミッド内部を透視した結果、未知の空間が発見されたという研究成果など、非常に見ごたえのあるコーナーが展開されている。
また、河江氏が撮影した、大ピラミッドの実物大の石の画像も展示している。この大きさの石が上まで続いているということが体感でき、そのスケールの大きさにあらためて驚く。
「最後のステージでは、人間だけではなく動物のミイラもご覧いただけます。ミイラのつくり方も、とても分かりやすいアニメーション動画で紹介されており、古代エジプトの葬送の文化を知ることができる構成となっています。また、日本のみでなく世界的にも初の試みだと思われますが、人類史最古の葬送文書であるとされている『ピラミッド・テキスト』を、筑波大学の宮川先生が古代エジプト語の発音によって再現したものが、会場で流れています。ファラオはこの音を聴きながら送られていったのだな、と目だけでなく耳も使って感じてほしい」。
古代エジプト語は、基本的に子音しか表記されない文字体系であるヒエログリフなどで書かれたため、実際の発音は不明だった。本展では、筑波大学・宮川創准教授が再現した、古代エジプト語の音声が流れる神秘的な雰囲気のなかで作品を鑑賞できることも、みどころの一つとなる。
「本展は、一つの王の時代、一つの地域だけでなく、全時代を通して様々なところから、古代エジプトをわかりやすく説明しているところが大きなみどころの一つです。生から偉業、そして死まで、文明の一つの形を感じてほしい」。と河江氏はしめくくった。
本展の展示の中には、通常の解説のほか、「河江 Point!」のマークが目印の河江氏による解説がついた作品があり、古代エジプトの世界をより深く知ることができ、幅広い年代の人が楽しめる構成となっている。
六本木に広がる古代エジプトの世界へ、ぜひ訪れてみてほしい。
【会期】1月25日(土)〜4月6日(日)※会期中無休
【時間】10:00〜18:00(金・土曜日、祝前日は20:00まで) ※入場は閉館時間の30分前まで
【写真】本展監修のエジプト考古学者・河江肖剰氏
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