「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」プレス内覧会

サントリー美術館

  • 2025/2/14(金)
  • イベント
  • フォトニュース
「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」プレス内覧会

 19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した、フランスのガラス工芸家、陶芸家、家具作家、エミール・ガレの没後120年を記念した展覧会が開催中。

 本展では、ガレの地位を築いたパリとの関係に焦点を当て、彼の創造性の展開を顧みる。
サントリー美術館が所蔵する豊富なコレクションのほか、フランスのパリ装飾美術館から、万博出品作をはじめとした作品を多数紹介。
1878年、1889年、1900年と、ガレの名声を不動のものにした、三回のパリ万博にフォーカスした展示と、ガレの世界をより深く理解するための2つのコラム的な付章で、青年期から最晩年にいたるまでの、ガレの豊かな芸術世界を楽しむことができる。

 Section 1 では、1878年のパリ万博に出展・銅賞を受賞し、国際デビューの機会を得た時期の作品を観ることができる。
実際にパリ万博に出展され、パリ装飾美術館に購入された《脚付杯「四季」》は、小さい作品の中に施された、四季を表す人物寓意画などの装飾の緻密さに引き込まれる。
 また、日本美術からモチーフを採用した「ジャポニスム」が一世を風靡した万博としても知られるこの時、ガレはブームを反映した作品も発表している。
同一モデルの作品が出品された《花器「鯉」》(大一美術館)の大胆な構図は、展示会場でも目を引く作品だ。素地で使われている淡青色の「月光色ガラス」は、ガレがこの万博で好評を博したのち、ヨーロッパ各地で模倣された。

 ガレが輝かしい成功を収めた1889年の万博にフォーカスしたSection 2 では、新たに開発された素地やさまざまな装飾法で、作品に広がりを見せた様を紹介。
 なかでも、黒ガラスを使用した大作《花器「ジャンヌ・ダルク」》(大一美術館)は、透過光を当てるとジャンヌ・ダルクの姿のみが白く浮き上がって見えるなど、光の当たり方や角度で異なる表情が見られるので、ぜひあらゆる方向からじっくり観てほしい。
それまで、ヨーロッパの工芸で積極的に使われてこなかった黒ガラスを使うことで、悲しみや生と死、闇、ほの暗さなどを表現し、ガレの作品に物語性や精神性が色濃く滲み出るようになったのも、この万博での特徴といえる。

 ガレが出展した最後のパリ万博となった1900年のパリ万博は、これまでのガラス作品という概念を超えた独自の世界観を展開。造形的にも観念的にも観る者の心を震わすものへと昇華していった。
ガラスと家具の部門でグランプリに輝いた1900年頃の作品が紹介されているSection 3 では、一般的に私たちがガレの作品としてイメージするような、ダイナミックながらも繊細な装飾が施されている、表情豊かな作品が並ぶ。

 「Epilogue 栄光の彼方に」では、ガレの最晩年である1901年からの4年間、おそらくガレが自身の死を覚悟していた頃の作品を紹介。本展のメインビジュアルでもある晩年の大作《ランプ「ひとよ茸」》(サントリー美術館)の温かくも神秘的な光が、展示空間を照らしている。

 そのほか、2つのコラムでは、ガレがパリにおいて万博以外でどのように販売促進を試み、人脈を広げていったのか、その様子を紹介する販売代理人宛の手紙などの資料や、販売店の銘が入った作品が展示されていたり、パリの社交界とのつながりを示す作品を観ることができたりなど、知られざるガレの人物像を垣間見ることができる。ガレの成功戦略に着目しながら鑑賞するのも面白いかもしれない。
また、本展は10:00〜11:00を除き撮影可能となるので、名作の《ランプ「ひとよ茸」》や《脚付杯「蜻蛉」》(サントリー美術館)などの名品をカメラに収めるチャンスだ。

【会期】2月15日(土)〜4月13日(日)※作品保護のため、会期中展示替を行います
【休館日】火曜 ※4月8日は18時まで開館
【時間】10:00〜18:00(金曜は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで ※3月19日(水)、4月12日(土)は20時まで開館
【画像】「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」展示風景
右手前:花器「海馬」 エミール・ガレ 1901年 パリ装飾美術館 Paris, musée des Arts décoratifs
奥:ランプ「ひとよ茸」 エミール・ガレ 1902年頃  サントリー美術館

記事を探す

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。