和田山真央 個展

六本木ヒルズ A/Dギャラリー

  • 2025/2/21(金)
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和田山真央 個展

 陶芸家・和田山真央(わだやままさひろ)の個展が開催中。
和田山は、英語教師になるために留学したアメリカで日本の陶芸に魅了され、同じ大学の陶芸コースに編入。帰国後に昼馬和代氏に師事し、公募展で数々の賞を獲得。現在は和歌山の加太に工房を構えている。

 色鮮やかな釉薬の流れを生かして作られる器は、一つ一つ違う表情を持ち、特に『ワダヤマブルー』と呼ばれるターコイズブルーの器は、高い人気を誇る。「半磁器土」を用いた薄く硬く欠けにくい器は使いやすく、日々の暮らしに馴染み、テーブルを華やかにしてくれると大人気だ。

 取材に訪れたこの日も、ギャラリーを訪れる人が後を絶たない。「きれいだよね!これ、ずっと欲しかったの」という声があちらこちらから聞こえ、本展の開催を待ちわびていた人の多さがわかる。

 和田山の作品は、独特の美しい色合いも人気の秘密だ。色をつくるのが好きで、何千回も釉薬の調合をテストをするなど、常に研究を続けているそうだ。
「光や朝日など、一瞬の色をつくりたい。また、窯出しした時に『美味しそう』と思うような色をつくりたいです」。
和田山の器がプロの料理人からも高い支持を得ている理由の一つは、料理を乗せた時に美味しそうに見えるのはもちろんのこと、器自体が美味しそうと思わせるような色の表現を目指しているからだろう。

 また、和田山が制作において色にフォーカスするようになったきっかけも、食と深い関係がある。レストランをオープンする友人から、「青い色で器をつくってほしい」と頼まれたことだった。
単純にコバルトなどで青をつくると、のっぺりとした色になってしまう。それを避けるため、色が変化する方向を鉱石によって変化させる方法を研究したそうだ。

 これだけ美しい器だと、『使ってよいのだろうか、もったいないかな』と躊躇してしまいがちだが、毎日の料理で使えるよう、和田山の器は洗いやすさや乾かしやすさ、水切れの良さなどを考えて作られている。また、手に持った時になじみやすいよう形づくられているので、持っていて心地よい。

 会場では、新作の黒い器も観ることができる。マットな質感を中心に光を足して作られているので、ぱっと見た感じは黒一色だが、近づいてみると表情豊かで、料理が映えそうだ。
 他にも和田山が日々研究を重ねることで生まれた新作が、もう一シリーズ展示されている。力強さ、質感の面白さや温かさが伝わる、器のようなオブジェのような、ダイナミックな作品たちだ。
「テストすることが好きなので、いろいろ試していますが、その結果によって、自分の作るものも変わってきます。その例がこの新作です。表情ができたことによって、このような形をつくることもできるので、これからも新しい試みを行っていきたい」。

 海に近い土地に拠点を移してから五年ほど経ち、インプットする時間や余白が増えたという和田山。その探求心と熱意で、どのような作品を生み出していくのか、これからも注目していきたい。

【会期】2月21日(金)〜3月9日(日)※会期中無休
【時間】12:00〜20:00

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