手塚治虫「火の鳥」展 −火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴− プレス内覧会

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)

  • 2025/3/6(木)
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手塚治虫「火の鳥」展 −火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴− プレス内覧会

 数々の名作を生みだした手塚治虫が、みずからのライフワークと宣言したマンガ『火の鳥』の大型展覧会が開催中。(※手塚治虫の「塚」は旧字体が正式表記です)
原画を中心に、映像、関連資料、そして『火の鳥』の世界観を表現したグラフィック等、計約800点を展示している。

 会場エントランスには、【プロローグ 火の鳥・輪廻シアター】と題した『火の鳥』の作品世界が、ダイナミックに展開されている。
『生命は絶えず破壊と創造を繰り返しながら、エントロピー増大の法則に抗い続けている“流れ”であるとする』という、本展の企画・監修を務める生物学者・福岡伸一氏の生命観「動的平衡」に重ね合わせて作られたアニメーションは、さながら火の鳥が目の前に舞い降りてきそうだ。東京の夜景が目の前に広がる時間帯に見たら、さらに幻想的な雰囲気であろう。

 『火の鳥』の時間軸は、紀元前から西暦3000年を超える未来まで、そして物語の舞台は、邪馬台国から宇宙のかなたまで、時空を超えた壮大な叙事詩が連作されており、ストーリーも過去と未来を行きつ戻りつすることがある。
第1章「生命のセンス・オブ・ワンダー」では、こうした複雑な物語構造を明らかにし、作品舞台の時代背景を年表形式でたどることができる。

 続く第2章「読む!永遠の生命の物語」では、主要12編の原画、約400点を展示。「黎明編」から「太陽編」まで、それぞれの冒頭に、あらすじや登場人物の相関図のほか、福岡伸一氏の「深読み!」パネルも展示されているので、『火の鳥』を読んだことない人も分かりやすく、作品のファンはさらなる気づきを得ることができる。
 また、会場内では、「鳳凰編」で我王と茜丸が作った鬼瓦が展示されていたり、1970年の大阪万博にて手塚治虫がプロデュースしたパビリオン内で展示されたロボットを見ることができたりなど、原画のほかにも見どころが満載だ。

 手塚は生前、物語の結末について「死ぬときに描いてみせる」と言明し、作品は未完のままとなった。
第3章「未完を読み解く」では、『火の鳥』の結末について、福岡氏が一つの答えを導き出す。
ここでは現代美術家・横尾忠則氏が描いた《火の鳥》も展示されているので、忘れずに観てほしい。

 『その生き血を飲んだものは永遠の命を得る』と信じ、生に執着する人間たちを描いた『火の鳥』。
作品の主題である、「生きること、死ぬことの意味は何か」を、本展を観て考えてみてはいかがだろうか。

【会期】3月7日(金)〜5月25日(日)※会期中無休
【時間】10:00〜22:00 ※入館は閉館時間の1時間前まで
【写真】プレス内覧会にて、企画監修者・福岡伸一氏による展示解説ツアーの様子 ©Tezuka Productions

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