ジョーン・ジョナス「Drawings 」キュレーション アダム・ペンドルトン

Pace ギャラリー(麻布台ヒルズガーデンプラザA 2階)

  • 2025/5/16(金)
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ジョーン・ジョナス「Drawings 」キュレーション アダム・ペンドルトン

 パフォーマンス・アートで有名な現代美術の先駆者、ジョーン・ジョナスのドローイングにフォーカスした個展が、Pace 東京の2Fにて開催中。

 本展は、ジョナスの長年の友人であり、Paceに所属するアーティストでもある、アダム・ペンドルトンのキュレーションにより、1970年代から2010年代にかけて制作された約80点のドローイングが展示される。ジョナスのパフォーマンスにおけるドローイングの重要性のみならず、インスタレーションの基となっている、動物や自然界との深い関わりを物語る。
また、ジョナスが日本を訪れた際に制作した作品も紹介されており、日本との深い関係性にも光が当てられている。

 ジョナスは、1960〜70年代のニューヨークで、ビデオアートやパフォーマンスアートの先駆者として頭角を現し、以降50年以上にわたり、文学や神話、自然など、あらゆるものから着想を得た作品を発表してきた。
特に日本の伝統芸能や素材に強い影響を受けており、本展でも和紙を用いた《Body Drawings》や、月のうさぎ伝説に基づくドローイング、魚や鳥をモチーフにした作品群が展示されている。

 1970年の初来日で、ジョナスはポータブル・ビデオカメラ、ソニー・ポータパックを購入。ニューヨークに戻り、初のビデオパフォーマンス作品《Organic Honey's Visual Telepathy》と《Vertical Roll》(ともに1972年)を制作した。
 以降、幾度となく日本を訪れ展覧会を開催しながら、ジョナスが日本で出会ったものはビデオカメラのみではなく、能や歌舞伎など日本の芸術、文化、伝統を吸収し、作品に取り入れていったが、作品の素材ともなる和紙も見出していた。

 和紙の丈夫さに着目したジョナスは、大判の和紙をくしゃくしゃにして濡らし、身体に貼りつけて自身の身体を描く《Body Drawings》を制作した。身体が自身にもあるし作品にもあるというものだが、目で見ながら描くわけではないので、抽象画に近づくいていくことが特徴の、ジョナスの作品の中でも重要なシリーズとなっている。

 そのほか、日本を訪れた際に100点ほど制作した青インクで描いた魚のシリーズは、さわやかな色合いと、さらっと描いているのにそれぞれの魚の特徴がよく現れている様子が印象的。
また、鳥を描いたカラフルなシリーズも同様に、特徴が描き分けられていて、ジョナスの観察眼の鋭さがうかがえる。このシリーズと、ギャラリー手前側で観ることができる、パフォーマンスのために描かれた半抽象的な鳥のドローイングとを比べて観るのも面白い。

 2025年9月に国立新美術館にて開催の「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」展にて、ジョナスのビデオインスタレーション作品が展示される。
その展覧会に先がけて、本展にてジョナスのドローイングを観ておくと良いだろう。

【会期】5月17日(土)〜7月3日(木)
【休廊日】月曜
【開廊時間】11:00〜20:00(19:00〜20:00、日曜の18:00〜20:00はアポイントメント制)
【写真】ジョーン・ジョナス「Drawings」キュレーション アダム・ペンドルトン 展示風景、 Joan Jonas: Drawings, curated by Adam Pendleton、2F; Azabudai Hills Garden Plaza-A 5-8-1 Toranomon, Minato-ku Tokyo、May17 − July 3, 2025、 Photography courtesy Pace Gallery

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