泉屋博古館東京(六本木1-5-1)
世界屈指と称される住友コレクションの青銅器・青銅鏡から、選りすぐりの名品を紹介する展覧会が開催中。デザインの背景にある物語や神話を解説し、中国古代のデザインに秘められた謎に迫る。
あわせて、2021年、23年に京都・鹿ケ谷の泉屋博古館にて開催された、現代鋳金作家と中国古代青銅器のコラボによる「泉屋ビエンナーレ」に出展された作品の一部が東京で初公開されるので、こちらも見逃せない。
東京館長の野地耕一郎氏は、内覧会開催の挨拶にて「古代の青銅器や青銅鏡に刻まれたデザインには、さまざまなトリビアが散らばっており、本展では私にとってさまざまな発見がありました。本展をご覧になる方にもきっと同様の体験をしていただける、意味深い展覧会になると思います」。とコメント。
また、泉屋博古館学芸員の山本堯氏は
「少々重い印象を受けるテーマかもしれませんが、青銅器とか、青銅の鏡に見られる中国古代のデザインや美術が、いかに面白いかということを多くの人に伝えたい、という想いで企画した展覧会となります。本展のみどころは、住友コレクションの核となる名品が一堂に会する機会であるということ、また、中国古代の作品は難しそうという印象をもたれがちですが、それをいかに解消するか、考えて企画しました。ぜひ、できる限り近づいて、ディテールをしっかりと観ていただくことが、一番の楽しみ方だと考えております」。と語った。
中国の古い時代の美術は、細かなところまで重要な意味がたくさん隠されており、それを知って鑑賞すると、謎解きのような面白さがあるという。
それをひも解くキーワードとして、本展では「動物/植物」「天文」「七夕」「神仙への憧れ」という主に4つの観点から、デザインの背景を読み解いていき、さらには日本美術に与えた影響についても紹介されている。背景知識と一緒に鑑賞することで、雲が晴れるかのごとく視界が広がり、理解度がアップするのだ。
会場では、鏡背全体がプラネタリウムのような、世界全体を象徴する模様で彩られた鏡や、神話に登場するさまざまな神仙の姿をあらわしたもの、重要文化財《三角縁四神四獣鏡》中国・三国 (3世紀)と重要文化財《四獣形鏡》日本・古墳中期 (5世紀)など、中国古代の鏡と国産の鏡とを見比べ楽しむこともできる。
また本展では新しい試みとして、プラネタリウムや大学ミュージアムとのコラボイベントの開催も予定している。ラーニングプログラムを多く開催する泉屋博古館東京でも、実験的な試みとなる。詳しくは、美術館Webページをチェックしてみよう。
【会期】6月7日(土)〜7月27日(日)
【休館日】月曜日(7月21日は開館)、7月22日(火)
【時間】11:00〜18:00(金は19:00まで)※入場は閉館の30分前まで ※会期中の各イベントの詳細は泉屋博古館東京ホームページより確認ください
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