「藤本壮介の建築:原初・未来・森 」

森美術館

  • 2025/7/1(火)
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「藤本壮介の建築:原初・未来・森 」

 2025年大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーを務めるなど、現在最も注目される日本人建築家の一人、藤本壮介の初となる大規模個展が開催。
活動初期から現在進行中のものまで、約30年にわたる主要プロジェクトを紹介する。

 本展会場に入ると、100を超えるプロジェクトを紹介する《1 思考の森》が広がる。
300平方メートルを超える空間に、模型や素材、アイデアの断片であるオブジェなどが、藤本建築の3つの系譜に分類され年代順に配置されており、圧巻だ。高さが様々な台に展示されているものもあれば上から吊るされているものもあり、森を彷徨うような気分で各作品の間を縫うように歩きながら、藤本建築を体感できる。

 また、大阪・関西万博の『大屋根リング』とのコンセプトに焦点を当てた、《5 開かれた円環》の章では、大屋根リングの一部を1/5に縮小した模型が展示されており、実際にリングの中をくぐり抜け、体感することができる。
大屋根リングの下には人型の模型も置かれているが、それぞれのポーズは藤本が「リングの下で、人々がこういう動きをしていそうだな」と想像して作ったそうだ。模型の奥の空間には、大屋根リングの構想段階の手描きスケッチが大量に展示されているので、こちらも忘れずにチェックしておきたい。

 もう一つ、大型の模型で藤本建築を体感できるのは、《7 たくさんの ひとつの 森》だ。
藤本が基本設計を手掛けている、現在進行中のプロジェクト『仙台市(仮称)国際センター駅北地区複合施設』の1/15の大型吊模型の展示で、「ばらばらであり ひとつであり」というコンセプトに基づいて設計された建物の構造が体感できる。
 音楽ホール兼震災メモリアルを兼ねたこの複合文化施設は、屋根兼床スラブのプレートをたくさん集めて1つの建物を構成しており、東日本大震災から20年後にあたる、2031年の竣工を予定している。

 本展では、他のクリエイターや研究者とのコラボレーションも見どころの一つとなっている。
データサイエンティストの宮田裕章氏とコラボレーションした《8 未来の森 原初の森−共鳴都市 2025》では、「今、建築にどのような事ができていて、未来に対して何ができるのかを一緒に考えたい」という美術館側からのオーダーにより、完全にゼロの状態から考えた未来の都市の提案を、模型と映像で展示されている。
 立体的に組み合わされた無数の球体群は、「森」と同様に多方向に開かれ、観る者に未来の都市の在り方を考えるきっかけをもたらすだろう。会場には来場者が考える未来都市について自由に記載できるノートが設置され、またQRコードで投稿することもでき、その一部は10月に開催予定のトークセッション「未来の都市像とは?」で紹介される予定だ。

 そのほか、ブックディレクターの幅允孝氏が、藤本建築から着想を得た5つのテーマにより選んだ書籍40冊が、1冊ずつ椅子に置かれた空間《3 あわいの図書館》や、建築史家で大阪公立大学教授の、倉方俊輔氏の監修で制作された、藤本の活動の軌跡を総覧する年表《2 軌跡の森−年表》も見逃せない。

【会期】7月2日(水)〜11月9日(日)※会期中無休
【時間】10:00〜22:00(火曜は17:00まで) ※ただし8月27日(水)は17:00まで、9月23(火)は22:00まで ※入場は閉館の30分前まで
【写真】「藤本壮介の建築:原初・未来・森」展示風景と藤本壮介氏

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