21_21 DESIGN SIGHT(赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン)
自然災害は、いつどこで発生するのか、確実にはわからないが、災害大国と呼ばれる日本に住む私たちにとって無縁ではいられないことは事実だ。
本展は展覧会ディレクターに、仙台にも拠点を置くビジュアルデザインスタジオ・WOWを迎え、作品を発信するだけではなく、鑑賞を通じて思考を促す表現を探求。
「そもそも災害とはなにか」という視点から、人々が直面してきた自然災害を広く見つめ直す。
「十分な備えって、どのくらい?」「災害をどのように知る?」など、会場内には10の「問い」が散りばめられている。来場者は自分自身の防災や災害への向き合い方を主体的に考えながら、作品を鑑賞できるしくみだ。
本展の特設サイトでは、10の「問い」に対して自身の考えを回答できるほか、会場ではみんなの答えが集まる映像作品があり、他の人の答えを見て自身の備えの参考にすることもできる。
会場入ってすぐのインスタレーション、siro+石川将也による《そのとき、そのとき、》では、テーブルの上の積み木を自由に積み上げることができるが、一定の時間ごとに大きく揺れて積み上げたものが崩れる。予告されていても積み木が崩れた時には軽い喪失感を感じるが、これが実際の災害だったら…と考えると、どこか遠くにあるものと考えていた「そのとき」が、ぐっと近く、自分ごとに感じられるのだ。
会場内の展示で印象的だったものは、積みあがっている箱の中に、防災グッズが詰められている「防災ゆうストレージ」というものだが、箱によって入っているものが異なる。
これは、自分が「そのとき」に必要なものを預けておくことができるサービスの展示で、年齢や性別だけではなく、一人ひとりにとっていざという時に必要となるものが違うことに改めて気づかされ、一般的な防災グッズにプラスして、自分にとっての必需品を備えておきたいと考える良い機会となった。
また、「いつもの毎日を送るなかで、大切な人にできることはなに?」という問いに対する答えとして、平時に用意しておきたい、いざという時に必要な食品が具体的な量で展示されているのも、目で見て直観的に理解でき、わかりやすく参考になる。
そのほか、プライバシーに配慮した避難所をつくる「避難所用・紙の間仕切りシステム」などのプロダクトや研究結果の展示も、防災の「今とこれから」がよくわかるので、ぜひ観てほしい。
あまり考えたくないこととして災害から目を背けず、本展でその捉え方を見つめ直すことで、今やるべきことを考えてみると良いだろう。
【期間】7月4日(金)〜11月3日(月)
【休館日】火曜(9月23日は開館)
【時間】10:00〜19:00 ※入場は18:30まで ※六本木アートナイト特別開館時間 9月26日(金)、27日(土)10:00〜22:00(入場は21:30まで)
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