ステフ・ファン個展「WHEN AN ENCOUNTER TAKES PLACE」

ペロタン東京 (六本木6-6-9 ピラミデ1F・2F)

  • 2025/9/10(水)
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ステフ・ファン個展「WHEN AN ENCOUNTER TAKES PLACE」

 ロンドンを拠点とする台湾系アーティスト、ステフ・ファンの個展が開催中。

 「物質性の詩人」として知られるファンは、ファウンド・オブジェクトや可塑性のある素材を用いて制作を行い、その遊び心に満ちた彫刻と独創的なアッサンブラージュで、人々の普遍的な体験を形にしている。
 本展では、彫刻とインスタレーション作品を中心とした展示で、観る者を、テムズ川のほとりから日本の街角へ、家族の集いの思い出から地中海沿岸での安らぎのひとときへと、時空を超えた旅路に誘う。

 会場は、ギャラリー1階の3号室と2階のサロンに分けて展示され、それぞれにファン独自の世界が広がっている。
1階の会場に入ると、中央にはコリント式の柱の上に銅製のフォーチューンクッキーが乗った《The Column of Fortune》(2025年)と、その奥に人が横たわっているシルエットの金属片と、その輪郭に沿うようぐにゃりと形作られたガラスが寄り添う《Resting》(2025年)が目を引く。
周辺の床には、ガラス玉の作品《Collision of Fate》(2025年)が点在し、その色合いや形のかわいらしさに和むと同時に、ガラスが足元にあるという不安を感じるのも面白い。

 その他にも《Blue Moon》(2025年)や《Late Night Gas Station》(2025年)など、ガラスと金属をミックスした作品が多くみられる。
ファンは「ガラスは熱を加えて柔らかくなり、冷やすと硬くなると同時にもろく繊細になる。それを金属が守るというイメージが気に入っています」と語った。
 常にフィルムカメラを持ち歩き、自身が見たもの、心に響いた景色などを記録したものを見返すことで、インスピレーションを得るそうだ。市場や建築物などを見て面白いもの、その地に住む人々が工夫しているものなどを参考にするという。

 2階のサロン入口などでも、《A Pipe Dream》(2024年)などのガラスを使った作品を観ることができる。
室内では、ブロンズのクルミが入った鳥かご《Urban Symphony》(2025年)が印象的だ。この鳥かごから絶えず流れてくる鳥の声が、その存在と不在を浮かび上がらせる。

 《Mediterranean Sea》(2025年)など、観る者に遠い日々の記憶を思い起こさせるような作品や、ペロタン東京で初となるファンの個展にちなんだような作品《Momotarō i》(2025年)も印象的だ。

【会期】ステフ・ファン「WHEN AN ENCOUNTER TAKES PLACE」9月10日(水)〜10月25日(土)
【休廊日】日・月曜日、祝日
【開廊時間】11:00〜19:00
【画像】「WHEN AN ENCOUNTER TAKES PLACE」の1階展示風景。ペロタン東京にて

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