嶋田美子『滅私|愛護』

OTA FINE ARTS(六本木)

  • 2026/3/18(水)
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嶋田美子『滅私|愛護』

 女性と戦争をテーマに作品を制作している嶋田美子個展『滅私|愛護』がOTA FINE ARTS(オオタファインアーツ)で開催中。

 今展は、嶋田が1990年代前半に発表した作品で構成される。この作品群が制作されたのは昭和天皇が崩御した1989年から。昭和の終焉と敗戦50年(1995年)とのはざまで、それまで「戦争の被害者」としてしか語られてこなかった日本人女性の戦争参加について考察したのが、今回展示する《Past Imperfect(過去不完了)》シリーズの作品群。なぜ今、90年代の作品を展示する事になったのか、それは今に通じるものがあるからだという。

 タイトルの「滅私」と「愛護」は、ともに戦中標語に頻出する概念や言葉。現代風に言うならば「献身」と「ケア」。80年以上前に「滅私」「愛護」などのスローガンで鼓舞された女性たちは、結局「人的資源」として国家に都合よく利用されていた。嶋田は自身の作品と戦中の国策標語を通して見る者に訴えかける。

 本展で一番目を引くのは、割烹着に赤い腰紐でつながれたピストル。その中で腰紐につながれた軍人の写真は戦死した嶋田の親族の男性だという。そこにも強いメッセージ性を感じる。

 今の女性参加や女性活躍社会は本当に女性のためのことなのか。女性の意欲はある意味搾取されているのではないか。今と照らし合わせた時に、今とそんなに違わないのではないか。時代は進んでいるように見えて根っこの部分は同じなのではないか…嶋田はそう感じている。

 ギャラリーの担当者も本展の意義について「響かないと意味がない」そう語った。ぜひ自分の目で見て作品から色んなものを感じてほしい。

【会期】3月14日(土)〜5月16日(土)
【休館日】日・月曜日、祝日
【時間】11:00〜19:00

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